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3月の集中報道巡り議論 日本大研究所 震災TVニュースでシンポ

 日本大新聞学研究所主催のシンポジウム「3月ジャーナリズム化する震災テレビ報道」が1月28日、三崎町キャンパス(東京都千代田区)で開かれた。東日本大震災関連のニュースは減少傾向にあり、3月にのみ顕著に増えているとの調査結果を基に意見交換した。登壇したNHK報道局の八谷昌幸チーフプロデューサーは、時機を捉えて特集する意義を肯定的に評価。他方、元テレビユー福島報道局長の大森真氏は全国ニュースで報じられる機会が減っていることに危機感を示した。

 新聞学研究所はNHKと民放キー局の全国ニュースを対象に、2011年3月から5年間の震災関連報道について調べた。震災、原発、復興の単語を含むニュースの本数の推移を見ると、時間がたつにつれ減少しているものの、毎年3月には増加していた。分析した日大法学部の米倉律准教授は「周年報道の傾向が顕著で『3月ジャーナリズム化』している」と話した。

 この結果を受け八谷氏は「肯定的に受け止めても良いのではないか」との見方を示した。毎日千本を超える出稿の中からニュースを取捨選択する中で「時機を捉えて震災の記憶や教訓を考えようとする現場の意識の表れだ」と述べた。

 災害発生から6年近くが経過した今も、福島県の報道機関が震災や原発事故関連のニュースを扱わない日はない。大森氏は「それでも毎年3月が近づくたびに、節目に何を報じようかと考えていた」と振り返る。全国ニュースで震災関連報道が減り続けていることに危機感を持っているとし「3月に集中的に報じても、全国の視聴者に伝えるべき問題を全てすくい上げることはできないのではないか」と指摘した。

 大森氏は昨春にテレビユー福島を退職し、飯館村役場の職員となった。「テレビの報道は全体の傾向を伝えるか、もしくは特定の個人に焦点を当てるか。手法が二つに偏る。震災が起きて以来、被災者一人一人と直接向き合いたいと思っていた」と転身の理由を語った。

 職員として住民に接すると、取材を受け過ぎて疲弊している人が多く「原発や放射能について聞くことも話すことも疲れたという人もいる」ことが分かったという。

 日本大研究所とは別に、NHK放送文化研究所も6局の夜のニュース番組を対象に震災、復興、原発、放射能、エネルギーの五つの単語で放送時間の推移を分析した。メディア研究部の原由美子研究主幹は「原発事故や福島第一原発といった言葉は年間を通して頻出している。原発関連のニュースは必ずしも3月に集中しているとは言えない」と解説した。

 二つの調査は、ニュース音声をテキスト化したものを中心に分析した。八谷氏は「テレビ報道はあえて映像のみを流すこともある。テキスト化した音声だけでなく、映像を含めた分析も必要ではないか」と課題を挙げた。

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