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逮捕容疑と見立て区別を 熊本2局に「倫理上問題」 BPO

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会(委員長=坂井真弁護士)は3月10日、熊本市職員の男性が準強制わいせつ容疑で逮捕された事件を報じたテレビ熊本と熊本県民テレビの番組について「放送倫理上の問題がある」との見解を公表した。「警察が直接の逮捕容疑としていない見立ても真実であるとの印象を与えた」と指摘した。  

 2局は2015年11月、意識を失った女性の裸を撮影した疑いで男性が逮捕されたことを報じた。警察への取材に基づき「わいせつ目的で女性を自宅に連れ込んだ」「意識がない女性の服を脱がせた」との疑いも示し、男性が容疑を認めていると伝えた。

 これに対し男性が「女性の裸を撮影したこと以外は認めていない」として名誉毀損(きそん)を訴えていた。男性は後に不起訴処分となった。  

 委員会は「わいせつ目的で自宅に連れ込んだ、服を脱がせたという点が『疑い』や『可能性』にとどまると伝えるべきだった」と指摘。追加取材をして容疑者が認めた範囲と警察の見立てを切り分け、正確に表現すべきだったと述べた。

 ただし、警察の説明が明確ではなかったため、男性がこれらの疑いも認めていると2局が理解したことは「相当の理由があった」と判断。名誉毀損は認めなかった。

 放送人権委が同日開いた記者会見では、警察取材に基づく報道に放送倫理上の問題を指摘したことについて「通常の事件報道との印象だ。判断は重いのではないか」「現場の萎縮を招くのではないか」などの質問が相次いだ。

SNSから写真使用 出典記載で注意喚起

 テレビ熊本と熊本県民テレビは、熊本市職員の男性が逮捕された事件を報じる際、男性の写真を出典を付けてフェイスブックから引用した。BPO放送人権委は「公共性、公益性に照らして問題ない」との判断を示した。ただし、引用元を明示すると視聴者のアクセスが殺到し、容疑者の友人や家族のプライバシーを脅かす可能性もあるとして、SNSからの写真使用について注意を喚起した。

 男性は2局が同意なく写真を引用したことが権利侵害に当たると訴えていた。

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