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DeNAサイト記事不正 最大2万件で著作権侵害 第三者委報告書

 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の第三者委員会(委員長=名取勝也弁護士)は3月13日、同社が運営する情報サイトについて、最大で記事約2万件に著作権侵害の疑いがあるとの調査報告書を公表した。医薬品医療機器法(薬機法)違反などの疑いがある記事も10本あったと認定した。「メディアとしての責任を理解せず、収益を上げるため安易に記事を量産した」ことが不正を招いたと指摘した。

 DeNAは情報サイト事業を収益の柱と位置付け、2014年にベンチャー企業を買収し参入した。昨年、医療情報を扱う「WELQ」で無断引用が疑われる記事や、「肩こりの原因は幽霊?」など根拠が不確かな記事を載せていたことが問題となり、12月までに運営する10サイトを休止した。

 4人の弁護士で構成する第三者委員会は37万6671件の記事をサンプル調査し、最大で全体の5.6%に上る約2万件に著作権侵害の疑いがあると結論付けた。画像472万4571点は全て調べ、15.8%の74万7643点に盗用などの疑いがあるとした。

 さらに「日焼けの対処にはぬれタオルが有効」と解説した「WELQ」の記事など計10本が薬機法や医療法、健康増進法に違反する可能性があると指摘した。このほか、医師によって見解が分かれる内容を安易に掲載するなど「倫理的な問題がある記事もあった」と述べた。

 DeNA側は「クラウドソーシング」と呼ばれるインターネットの仲介サービスを使い外部ライターに執筆を依頼。記事の内容確認や校正業務を外部に委託しているサイトもあった。

 ライター向けの記事執筆マニュアルには「コピペ(記事の切り貼り)の禁止」を明記していた。一方で参考にしていたサイトの記事を「独自表現に書き換えるコツ」と称して具体例を示してもいた。第三者委は「参考にした記事を特定できないようにする方法を指南している。他のウェブサイトからの無断利用を推奨していると受け取られかねない」と指摘した。

 DeNA側の著作権に関するチェック体制や、医師の監修など正確性を担保する仕組みも不十分だったと指摘した。

 DeNAは、情報サイトは「プラットフォーム」であり、記事の責任は投稿者にあると説明していた。しかし、大半のサイトで一般利用者からの投稿は記事全体の5%以下だった。調査委は「実態はメディアだった。プラットフォームであるかのような対応は不適切だった」と批判した。

メディアの責務理解せず 会長・社長が記者会見で謝罪

 DeNAの情報サイト不正に関する第三者委員会の調査結果を受け、同社の南場智子会長、守安功社長が記者会見を開いた。守安氏「メディアとプラットフォームの線引きが曖昧なまま事業を進めてしまった。メディアの責任や義務に対する理解が不十分で、正確性を担保できなかった」と謝罪した。

 情報サイト事業の拡大に当たり、DeNAは検索エンジンの上位に記事を出すことを重視した。記事執筆マニュアルでは、見出しに検索されやすい単語を盛り込むよう求めた。

 第三者委の報告書によると、サイトのアクセス数について高い目標値を設定し「検索エンジン最適化(SEO)」対策を最優先する方針を決めたのは守安社長だった。第三者委は「記事を拡散させ、広告収入を増やすことばかりにとらわれたことが質の低下を招いた」と指摘した。守安氏はこれに対し、「利用者にどのような価値を提供するかが不明確だった」と述べた。

 報告書は、サイト再開に当たり「(引用元の)著作権者がメリットを享受できる仕組みが必要だ」と提起した。南場氏はサイト再開のめどは立っていないとし「再び収益の柱に据えることはない」との考えを示した。「編集や校閲の体制作りや、ライターの研修などはわれわれにできるか分からない」とも述べた。

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