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企業連携で新たな価値を 朝日・大西氏、知財デジタル活用で提言 メディア戦略セミナー

 新聞協会は4月20日、第10回メディア戦略セミナーをプレスセンターホールで開いた。テーマは「新聞社の知的財産―どう守り、どう生かすか」。朝日新聞社の大西弘美執行役員が講演した。記事や写真に新たな価値を持たせるには、既存のキーワード検索型のデータベース(DB)の充実にとどまらず、新たな切り口や見せ方を取り入れることが必要だと述べた。そのためには「研究機関や企業との協業が重要だ」と指摘した。  

 大西氏は新聞社の記事・写真DBについて、コンテンツを増やすだけでは新たな価値は生まれないと指摘。「キーワードを入力して検索する基本的な機能が変わっておらず、技術革新がない。メディアデザインの視点から新しいものを作り出さなければならない」と提起した。

 朝日の取り組みとして、首都大東京と共同で作った「東京五輪アーカイブ1964―2020」を紹介した。64年に撮影した報道写真を地図上に表示し、地点から写真を選べるようにした。地図上には関連記事やその後の姿を捉えた写真を添えるなど、街や暮らしの変化が分かるようにした。

 この五輪アーカイブの手法を基に、インターネットの地図検索サービスを手掛けるマピオン社との協業も始めた。現在、学習用の歴史ガイド付き地図の開発を進める。「従来方式の写真販売DBは価格でしか競争できない。付加価値を高めるため、研究機関や企業との協業で知財活用の道を広げる必要がある」と話した。  

 大西氏は、米紙ニューヨーク・タイムズの料理レシピ検索サービス「NYTクッキング」も参考例に挙げた。過去のレシピ紹介記事を集めるだけでなく、編集者お薦めの一品を紹介するメールサービスも行う。レシピに使われた食品の配達事業も手掛ける。「新聞社には高品質で、しかも古びない『エバーグリーン』な知的財産の蓄積がある。それを生かし、挑戦することが重要だ」と強調した。

 このほか、小学館の田中敏隆マーケティング局ゼネラルマネージャーが「デジタル時代の出版ビジネス」をテーマに講演した。  セミナーには新聞・通信社の幹部ら105人が参加した。

AI技術開発に記事活用検討を 福井弁護士

 「人工知能(AI)の学習素材として新聞記事は最適。新聞社は宝の山だ」。福井健策弁護士はメディア戦略セミナーの講演で、近年注目が高まるAIによる文書作成や画像加工を例に、知的財産の活用法を提案した。

 AIの精度を高めるには、膨大な情報が必要になる。文章作成AIを手掛けるベンチャー企業にデータベースを有償提供するなど「知的財産を自社で囲い込むだけでなく、外に出していく戦略も必要だ」と述べた。

 現在の法規定ではAIが自動生成したコンテンツの著作権については定めがない。福井氏は「AIが作った成果物に対しどの程度権利を主張していくかも考えなければならない」と指摘した。

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