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情報への意味付けに重み ポスト真実時代の役割を議論 朝日労組5・3集会

 神戸朝日ホール(神戸市)で開かれた言論の自由を考える5・3集会のテーマは「『不信』『萎縮』を乗り越えて」。感情に訴える情報が影響力を持つ「ポスト真実」時代のメディアの役割を話し合った。朝日の高橋純子政治部次長、作家の高橋源一郎氏、東京工業大の西田亮介准教授が登壇した。解説や分析により情報に意味付けすることが報道機関の役割として重みを増すとの意見が出された。

 高橋源一郎氏はインターネット上で「反日」など他者を攻撃する言葉が氾濫する現状へ危機感を表明した。「社会が寛容さを失った。この状況に慣れ、おかしいと声を上げられなくなるのが怖い」と述べた。

 コーディネーターを務めたジャーナリストの池上彰氏は報道機関も攻撃対象になっているとし「メディア側が萎縮しているとの指摘もある」と述べた。これに対し高橋純子氏は「現場レベルで萎縮を感じることはない」と応じた。その上で、日々の取材活動の中で核心を突く質問を避けるようになるなど「気付かないうちに自己規制してしまう恐れは常にある。自らの立ち位置を問い続けなければならない」と述べた。

 西田氏は、ネットの登場と衆院選の小選挙区制への移行で「政治家はメディアを『中抜き』して有権者に直接情報を伝えるようになった」とみる。政治家に限らず、誰もが容易に情報を発信できるようになり、ネット上にあふれる情報の真偽の確認が困難になったとも指摘。それが不確かな情報や「偽ニュース」が広がる原因だと分析した。高橋源一郎氏は「ニュースが消費財になり、情報の正確さへの関心が弱まった」とし、報道機関の強みを発揮しにくくなったとの見方を示した。

 この現状の中で「取材先との関係作り、複数の情報源への取材、デスクや編集部門のチェックなど多大な労力をかけている。それがなかなか分かってもらえない」。高橋純子氏はこう述べ、ネット時代の読者と向き合う難しさを明かした。

 新聞社が取るべき方策として、西田氏は解説やオピニオン記事の強化を挙げた。「メディアには情報を分析し、意味を生み出す『縮約』の機能が求められているのではないか」と提起した。

 池上氏は「5月3日の憲法記念日にメディアが攻撃されたことを忘れてはいけない。メディアがしっかりしなければ社会が悪い方向に行くという原点を確認したい」と結んだ。集会には528人が参加した。

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