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報道と偽情報の混同 防止を WSJ東京支局長ら招き討議《紙面審査全国懇談会》

 新聞協会主催の第57回紙面審査全国懇談会は5月26日、事務局会議室で開かれた。米経済紙ウォールストリート・ジャーナルのピーター・ランダース東京支局長が「米国メディアはトランプ政権にどう対応するのか」をテーマに講演した。「フェイクニュースと日本のメディアの役割」と題した討議には、法政大の藤代裕之准教授とともに登壇した。報道機関のニュースと真偽不明の情報を混同させない配信手法を確立する必要性が指摘された。

 ランダース氏は「トランプ政権の誕生で健全な民主主義が脅かされる懸念はあったが、彼の政治家としての経験不足もあり、政権周辺の情報は取れている」と述べた。最大の問題は偽ニュースの蔓延だとし「新聞社の経営が脅かされている」と危機感を示した。「取材に基づく確かな情報を伝えるメディアが、真偽不明のニュースを載せる質の低いメディアと同等に扱われている。これを防ぐことが課題だ」と語った。

 その問題の要因は「自社のニュースがインターネット上でどのように広がり、どう評価されているのかを新聞社側が把握できていない現状にある」。藤代氏はこう述べ、無料ニュースサイトへの記事配信により新聞社が自ら信用を下げていると指摘した。有料電子版のようなパッケージ化を例に、読者を把握できる流通網と、ネット利用者が報道機関のニュースと質の低い情報を区別できる仕組みを作ることが必要だと述べた。

 沖縄タイムス東京支社の西江昭吾報道部長は討議で「沖縄基地問題の動向を無料ニュースサイトに載せれば全国に伝わるが、悪意に満ちたコメントも拡散してしまう。中傷の書き込みに対処しきれず、悩んでいる」と発言した。これに対し藤代氏は「こうした場で問題を共有し、各社が連携してサイト側に改善を求めることが大事だ」と提案した。

 このほか、中国の西村比登志記事審査担当部長が昨年から実施しているミス防止の取り組みを紹介した。新人記者が交代で3か月間校閲業務を担当し、用字用語や人権に配慮した表現などを身に付けているという。西村氏は「即効性はないが、長い目で見ればミス防止につながると期待している」と述べた。

 新聞・通信社の紙面審査担当者ら41社56人が参加した。

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