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独自報道の充実が鍵 メディアの信頼回復で討議 上智大シンポ

 上智大は6月2日、ジャーナリズムの今後の課題を話し合うシンポジウムを四谷キャンパス(東京都千代田区)で開いた。ジャーナリストの外岡秀俊氏、テレビ朝日の松原文枝報道局ニュースセンター経済部長、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏ら6人が登壇した。マスメディアの信頼回復のためには、当局発表だけに頼らず独自取材を充実させるべきだとの意見が挙がった。報道の自由を制約する動きと闘うにはメディア間の連帯が必要だとの指摘もあった。学生やメディア関係者ら250人が参加した。

 コーディネーターの音好宏上智大教授は「ジャーナリズムの価値観が国民と共有されていない」と問題提起した。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)代表のキャサリン・キャロル氏は、ソーシャルメディアの登場で社会の分断が進む中で「読者は各報道機関がどんな問題に興味を持ち、何を代弁するかを知りたがっている」と指摘した。松原氏は日本の状況を例に「共謀罪や憲法改正などの議論を自分に関わる問題として受け取っていない視聴者が多い。どんな報道をすれば市民を巻き込むことができるのか考えたい」と述べた。

 外岡氏はこれを受け、各社横並びと見られがちな「従来の客観報道から抜け出す」ことがマスメディアの信頼回復の鍵だと提言した。ファクラー氏も同調し、当局発表だけに頼らず独自取材に力を入れるべきだと述べた。福島第一原発事故直後に多くのメディアが現場を離れ、現地の状況を記者が自分の目で確かめられなかったとし、「あらゆる立場から幅広く正確に報じる意識が重要だ。読者が知りたいのはストーリーだ」と話した。

 政権を批判する言論への圧力や攻撃、ジャーナリストの拘束など、報道の自由に対する脅威にどう対峙するかについても意見を交わした。

 表現の自由を守る非営利団体「インデックス・オン・センサーシップ」代表のデービッド・シュレシンジャー氏は「記者の安全や表現の自由を守ることは、各社のライバル意識より大事なことだ」とメディア間の連携の重要性を訴えた。キャロル氏は「何十年も米国メディアは連携できなかったが、トランプ大統領の登場で表現の自由が本当の意味で脅かされて初めて協力するようになった」とその難しさも付け加えた。

 外岡氏は報道機関同士の協力だけでなく、記者の意識の変化も必要だと述べた。組織の中にいるといつの間にか「会社のため」という意識が芽生えてくるとし「記者は社会からの負託があるからこそ自由に取材ができるし、危険な場所にも行かなくてはならない。企業の一員である前に、ジャーナリストであるという自覚を持つことが重要だ」と強調した。

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