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【米大統領選 なぜ読み誤った?】 投票直前の動向つかめず 低学歴白人層の回答不足 世論調査協会で朝日・斎藤氏

 世論調査協会は7月11日、「調査の信頼を失わせた」と言われる米大統領選の情勢調査の検証をテーマに研究会を開いた。朝日世論調査部の斎藤恭之氏が米世論調査協会(AAPOR)の報告書を基に、報道・調査機関の多くがトランプ氏当選を予測できなかった要因について解説した。投票直前に態度を決めた人の動向をつかめず、低学歴の白人層の回答を十分に集められなかったため、情勢を読み誤ったとの分析結果が示された。

 昨年の米大統領選では、多くの調査機関がクリントン候補の当選確率を90%前後とみていた。予測に反してトランプ氏が勝利し世論調査の信頼が揺らぐ中、AAPORは今年5月に報告書をまとめた。

 報告書によると、両候補の支持率と実際の得票率の差が特に大きかったのは、各地の大学や調査会社による州単位の調査。誤差は2000年以降で最も大きかったという。斎藤氏は「歴史的な失敗だ」と解説した。

 投票直前の有権者の意識を追い切れなかったことを要因の一つに挙げた。選挙人の数が多いフロリダ州では、1週間前までに投票先を決めた人を見るとクリントン支持がトランプ支持を上回っていたものの、直前に決めた層ではトランプ支持者が多数派を占めていたという。

 二つ目の要因は、トランプ支持者が多い低学歴の白人層の回答を集められなかったことだと指摘した。決戦の行方を左右したとされる「ラストベルト(さびた工業地帯)」のミシガン、ペンシルバニア、ウィスコンシンの3州では、出口調査に比べ情勢調査の回答者は大卒者が多かった。予測に当たり学歴の偏りを補正しなかったため、トランプ氏の勢いを読み誤ったと分析した。

 調査の精度向上には綿密な分析が必要で、その分費用もかさむ。しかし、州規模の調査の予算は縮小傾向にある。資金調達手段についてはAAPOR自身も「検討すべきだ」と総括した。

 会場からは、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」など各州の世論調査を集計する「アグリゲーター」や、当選確率を予測する「フォアキャスター」の責任が指摘された。斎藤氏は偏りがある州調査のデータを活用したことが原因だと述べ、「12年の大統領選ではこうしたサービスが予測を的中させ『ビッグデータ解析』が注目を集めた。しかし今回は扱うデータの質に問題があった」と解説した。

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