1. 日本新聞協会トップページ
  2. すべてのヘッドライン
  3. BPO放送倫理検証委10年 萎縮せず報道の使命全うを 制作現場への浸透課題 川端委員長がマス倫で講演

BPO放送倫理検証委10年 萎縮せず報道の使命全うを 制作現場への浸透課題 川端委員長がマス倫で講演

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の月例会が7月19日、新聞協会会議室で開かれた。放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会の川端和治委員長が講演した。委員会発足からの10年を振り返り、萎縮することなく「事実を掘り起こし、国民に伝えるジャーナリズムの使命を果たしてほしい」と語った。裏付け取材の不足による問題が多いとし、過ちを繰り返さないためにも委員会の意見を制作現場に浸透させることが必要だと述べた。

 検証委は2007年、関西テレビの情報番組「発掘!あるある大辞典Ⅱ」のデータねつ造問題を受け、放送法の規制強化を防ぐため発足した。川端氏は「放送法の条文や歴史をみると、番組内容は放送局の自主自律に委ねられていることは明白だ。検証委は専門家による第三者機関として、放送の自律を援助する役割がある」と説明した。

 しかし15年にはNHK「クローズアップ現代」のやらせ疑惑を巡り、総務省が行政指導を出した。検証委は自律の侵害だとして意見書で批判。指導の根拠とされた放送法4条「番組編集準則」は倫理規範だと強調した。「法規範だとする総務省の解釈は明らかに憲法違反で、行政処分はできない」。強引な法解釈による介入とも闘った。

 一方で「放送局が萎縮し、自己規制していると感じる事例がある」とも。今年2月に公表した参院選、都知事選報道を巡る意見では、各局とも候補者の発言回数や露出時間をそろえる「量的公平」にとらわれたと指摘。取材で知り得た事実を偏りなく報道する「質的公平」が選挙報道の本質だと説いた。「事実を掘り起こし、国民に伝えるジャーナリズムの役割を果たしていれば、心配はいらない。事実を追い、真実を問い掛ける使命を忘れないでほしい」と述べた。

 委員会決定は25に上る。川端氏は「問題の3分の1は裏付け取材の不足が原因。同じことが繰り返されている」とし、委員会の意見を制作現場に反映させることを課題に挙げた。

 ミスの背景には人員不足や納期の短さがある。現場には制作会社やフリーランスのスタッフも多い。「制作現場との意見交換など双方向的な取り組みが必要だ。まだまだ浸透していないが、われわれは事実に則した意見を言い続ける。積み重ねの先に放送局の自覚と自律があり、放送倫理の向上という果実がある」と語った。

ページの先頭へ