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【ネット時代のメディア討議】報道の「芸能記事化」を懸念 関西マス倫合同会議

重大な問題は速報より深掘りを

 関西地区マスコミ倫理懇談会と「メディアと法」研究会は7月21日、大阪市・毎日インテシオで合同会議を開いた。「ネット時代のマスメディア」をテーマに討議した。SNSでニュースが硬軟の区別なく消費されるようになった結果、放送局がインターネット上で注目されそうな話題に一斉に飛びつく傾向が強まったとの意見が出された。社会にとり重要な情報が埋もれる弊害も指摘された。速報性にとらわれず、こうしたニュースを丹念に取材し、伝えることが必要だとの提言があった。

 専修大の山田健太教授は、学生の多くがSNSでニュースを得ているとし「新聞社を含む発信元が意識されなくなった」と述べた。これに伴い、政治、社会、経済などの区分も認識されなくなり「注目を集めるため多くのニュースが『芸能記事』の切り口で報じられるようになった」(近畿大・大沢聡准教授)ことも指摘された。

 毎日放送の奥田信幸ニュースセンター報道部長兼解説委員は、こうしたネット上のニュースの消費動向が放送局の価値判断にも影響していると述べた。森友学園への国有地売却問題で、籠池泰典前理事長の記者会見を各局が生中継したことを例に「速報性は重要だが見直す余地もある。深掘りしたドキュメンタリーや特集など、報道機関ならではの企画に力を入れたい」と話した。

 SNSで注目されやすいトピックに報道各社が一斉に飛びつけば「本当に伝えるべき情報が埋もれてしまう」。大川一夫弁護士はニュースの『芸能記事化』の弊害についてこう指摘した。国会で5月、警察によるマイナンバーカードの捜査利用問題が取り上げられた翌日の報道は「秋篠宮眞子さまの婚約報道一色だった」とし「社会の危機に関する重要な情報は、多少遅れてもしっかり報じるべきだ」と提言した。20社33人が参加した。

リテラシー不足が誤った批判生む

 討議ではメディア教育の重要性についても意見を交わした。山田氏はメディアに批判的な人が増えた理由の一つに「中途半端なメディアリテラシー教育が広がった」ことを挙げた。指導する学生には最初の1年、メディアを批判的に検証する訓練はしていないという。メディアの特性や取材・制作体制を理解することが先決で、それを欠くと「誤った批判を生む」と指摘した。

 会場からは、裏付けのない情報は報じないマスメディアの慎重さが「真実を隠している」と誤解されているとの声が上がった。大沢氏は「そうした言説の背景にはやはりメディアリテラシー教育の不十分さがある」と述べた。

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