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TV局映像の提出認めず 鹿児島・警官取り押さえ死 最高裁

 鹿児島市で警察官に取り押さえられ死亡した男性の遺族が鹿児島県に損害賠償を求めた民事訴訟を巡り、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は7月25日、テレビ局が撮影した映像を証拠採用するよう求めた遺族側の特別抗告を棄却した。「報道の自由が侵害される恐れがある」として鹿児島地裁の提出命令を取り消した福岡高裁宮崎支部の決定を支持した。

 テレビ局は2013年、警察に密着したドキュメンタリー番組の取材中に男性が取り押さえられる様子を撮影。映像は鹿児島県警が差し押さえ、鹿児島地検に渡った。

 民事訴訟では遺族が映像の証拠提出を求め、鹿児島地裁が地検に提出を命じた。地検は抗告した。

 福岡高裁宮崎支部は3月、「テレビ局は映像を報道以外に用いることを許容していない。証拠採用により報道の自由が侵害される恐れがある」として提出命令を取り消した。

 遺族側は特別抗告の理由中で「公平な裁判には事件の全容を客観的に記録した映像が不可欠だ」と訴えていた。高裁支部が「テレビ局に公開の意思はない」と判断したことについては「番組は娯楽目的。男性が死亡する場面の公開は放送倫理上あり得ない」と反論。警察の協力で撮った映像を警察の不利益になる目的で使うはずもないと指摘した。

 鹿児島地裁で継続中の訴訟では6月、遺族が鹿児島地検で映像を見た際、ひそかに録音していた音声が証拠採用されている。

 最高裁の判断について慶大・鈴木秀美教授(メディア法・憲法)は「報道の自由を口実に警察の利益を守ったような決定で、違和感を覚える」と話した。

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