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動画ニュース充実が有効 「見せる技術」 記者にも必要 《デジタルメディアセミナー》

 メディア開発委員会は9月14、15の両日、デジタルメディアセミナーを新聞協会会議室などで開いた。「デジタル時代の新たな表現手法に向けて―記者・編集者の変革」と題した2日目のパネル討議では、新聞社がインターネット利用者を引き付けるには動画ニュースの充実が有効だとの指摘があった。記者が技術者と同じ土俵で議論できる知識を身に付けることが必要だとの意見も出た。

 進行役の武蔵大・奥村信幸社会学部教授によると、ネット利用者は「臨場感のあるニュースを求めている」。動画や仮想現実、360度撮影などの技術を取り入れ、こうしたニーズに応えることが必要だと指摘した。効果的に見せるには記者と技術者の連携が欠かせないとした。

 毎日東京の佐藤賢二郎写真映像報道センター副部長も、動画は新聞を読まない人にもニュースを伝える有効な手段だとの考えを示した。とりわけ社会的弱者に光を当て独自色を打ち出す。昨年7月にはアダルトビデオ出演を強要された女優のインタビューを公開した。「取り上げ方によっては興味本位で消費されかねない。『毎日新聞』のブランドがあるからこそ、社会問題として提起できる」と述べた。

 沖タイの與那覇里子記者は、動画や写真、地図を組み合わせた検証企画「具志頭村『空白の沖縄戦』」(2014年6月公開)など、見せ方に工夫を凝らした特集サイトは「社のブランド構築に一役買っている」とみる。県外からの閲覧も多いという。

 制作当初は「技術者との壁を感じた」。図表の配置や写真を表示するタイミングなどを手書きの絵コンテで説明し、イメージを共有したという。

 プログラミング技術などを学んだ今なら「もっと的確な指示ができる」とし、技術者と対等に議論できる知識を持つことが重要だと述べた。現在は休職し、首都大東京院で情報デザインを学ぶ。

 西日本・ビジネス開発部の井上直樹氏は、新聞社に今後求められるのは「データを生かす力」だと指摘した。地域スポーツの試合結果などを記録する仕組みの標準化を模索しているという。人工知能(AI)による自動執筆などへの活用が目標。「ネット検索では得られない情報を集め、世に出すことが強みになる」と述べた。

 佐藤氏は15年、動画ニュースを増やすため全国の支局を回り投稿を呼び掛けた。「支局長やデスクには『動画を撮るより記事を書け』と抑え付けないでほしいと伝えた。若い記者が成功体験を重ねることでサイトも充実する」と語った。

 毎日の女優インタビュー動画や沖タイの「具志頭村『空白の沖縄戦』」は現在も公開中。與那覇氏は「長く読み継がれるいい記事」のように、長く支持されるウェブコンテンツを生み出すことが新聞社に求められていると述べた。

 2日間で新聞・通信社54社118人が参加した。

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