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批判受け止め自己検証を トランプ支持の背景に報道不信[日経×上智大シンポ ジャーナリズムの未来は]

 日本経済新聞社と上智大は10月30日、「これからのジャーナリズムを考えよう」と題したシンポジウムを上智大四谷キャンパス(東京都千代田区)で開いた。報道批判を繰り返す米トランプ大統領が支持を集める背景に「マスメディア不信がある」との指摘があった。批判を受け止め、メディア側が筋立てに沿う要素を「事実」として提示していないか自己検証すべきだとの意見も出された。

 基調講演で英フィナンシャル・タイムズのデミトリー・セバステプロワシントン支局長は、トランプ氏のツイッターが多くのフォロワーを集めていることについて「根底にマスメディア不信がある」と指摘した。米国ではケーブルテレビなどが注目を集めようと極端な主張の論客を取り上げることが多くなり、保守寄り、リベラル寄り双方のマス媒体が信頼を失ったという。

 新興インターネットメディアも極端な意見を「ニュース」として報じるため「意見とニュースが見極めづらくなっている」と話した。

 パネル討論で米ニューヨーク・タイムズ(NYT)のモトコ・リッチ東京支局長は、現在のメディア消費について「ソーシャルメディアで情報を得るようになり、関心の幅が狭くなっている」と指摘した。NYTの電子版読者が増えているのは「視野の広い信頼できる情報を求める人が増えたためではないか」との見方を示した。

 NHKの田中淳子国際放送局国際企画部長は、既存のメディアを「フェイクだ」と決めつけるトランプ氏の言動にも耳を傾けるべきだと述べた。「マスメディアは自らの筋立てに沿う話だけを『事実』として伝えてこなかったか。自省が必要だ」と指摘した。事実の追求に加え、バランスへの目配りがより重要になると語った。

 会場からは「若者のマスメディア離れの根底には『一方から見た事実』しか伝えていない』という不信感がある」「公正・中立よりも権力批判こそがマスメディアの役割ではないか」などの意見や質問が相次いだ。進行を務めた日経の春原剛常務執行役員は「メディアの権力監視は民主主義の基礎。これからは批判だけでなく代案を提示するなどの責任が求められる」と応じた。

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