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大衆迎合より政策論争を 東大院教授 政治と民主主義で講演 《論説責任者懇》

 新聞協会論説責任者懇談会が11月10日、事務局会議室で開かれた。東大院の森政稔教授が「日本の政治と民主主義」をテーマに講演した。希望の党を例に、善悪二元論に立ち対立勢力を攻撃するポピュリズム(大衆迎合主義)政治は「持続性がない」と指摘。意味のある政策論争を期待すると述べた。ノンフィクション作家の保阪正康氏は明治維新以降の日本の歩みについて解説した。

 森氏は衆院選で希望の党が敗れた要因に「ポピュリズムが持つ『包摂』と『排除』の二面性」を挙げた。希望という党名で「何でも包み込むような期待」を持たせた一方、候補者を選別する「排除の論理」を不用意に振りかざしたことで有権者の支持を得られなかったと述べた。

 海外を見ても、米国ではトランプ大統領への失望感が高まっており、欧州各国でもポピュリズム政党は勢力を増しつつも野党にとどまっていると指摘。「ポピュリズムには持続性がない」と説いた。

 一方で、政治に不和や対立は避けられないとし「相手が納得せざるを得ない論点を示すことで、意味のある対立に高めていくことが必要だ」と述べた。日本の政党は対立する勢力への攻撃を繰り返すよりも、低賃金労働や長時間労働といった問題について真摯(しんし)に議論すべきだと述べた。

 保阪氏は明治維新からの150年は「対中国政策の誤りの歴史」だと述べた。後発の帝国主義国として中国での戦争を繰り返した日本は、軍が規律を欠いていたと分析した。

 要因の一つは江戸時代の「消極的平和主義」にあるとの仮説を示した。幕府は武士階級に学問や武芸に励むよう促し「戦をできるだけ避けていた」。しかし、各藩は国内の争乱に備え、情報収集を徹底していたと指摘した。新政府が藩の力を生かし、連邦制に近い体制を敷いていれば「中国での戦い方も異なっていたのではないか」と話した。

 東京・深田実取締役論説担当、西日本・井上裕之論説委員長が議長を務めた。新聞・通信・放送44社の論説・解説責任者が参加した。

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