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《新聞製作講座》 データ量の急増に強み 朝日東京、デーリー東北 クラウド活用で講演

 第64回新聞製作講座は11月29、30日の両日、TOC有明(東京都江東区)で開かれた。30日には米インターネット通販大手アマゾンの従量課金型クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)を一部システムで使う朝日東京とデーリー東北から、データ量の急増に強い利点や障害時の補償がないリスクについて聞いた。日経の担当者はAIの報道利用について講演した。550人が参加した。

 AWSは、自前でサーバーを持つよりも費用を抑えられることから導入する企業が増えている。朝日東京の守安克二情報技術本部開発部次長は、データ量が急に増えても耐えられる点をAWSの強みに挙げた。

 朝日のクラウドファンディングサイト「A―port(エーポート)」で昨年12月、アイドルグループSMAPのファンによる新聞広告出稿企画が話題を呼んだ。支援金募集の締め切りが近づくとサイトへのアクセスが殺到したという。

 AWSは必要に応じサーバーを増強できる。エーポートはこの仕組みを生かしサーバーダウンを回避した。守安氏は「増強しても稼働分だけ1秒単位で課金される。柔軟性が高い」と述べた。

 デーリー東北は降版時に紙面データを画像化してAWS上のサーバーに置く。会員向けウェブサイトで1週間分の紙面イメージを配信している。渡辺聡技術制作局システム技術部次長は、次期新聞製作システムでは記事や写真のデータベースでもAWSの活用を考えたいと述べた。

 一方、データの保守や障害時の対応については「使う側の負担が大きい」と渡辺氏。コンテンツやソフトの保護は使用者が責任を負う。障害や突発的な保守作業でサービスが中断しても、アマゾンの補償はないという。

 AWSでは世界各地のデータセンターからサーバーを選べる。朝日とデーリー東北はともに東京の拠点を使う。会場からは「北米の拠点の方が新サービスの提供が早い。なぜ東京にしたのか」と質問が出た。渡辺氏は「データ保護についてはその国の法律が適用される。顧客情報を守るには東京の拠点が最良と判断した」と語った。

AIは記者支援ツール 日経 見出しの質向上図る

 新聞製作講座初日の11月29日には、人工知能(AI)の報道利用について日経の担当者2人が講演した。開発中の見出し自動作成AI、今年1月に導入した決算記事の自動執筆AIはいずれも「記者の支援ツール」だと述べた。見出しの質向上、記者が独自取材に労力を割きやすい環境作りを図っている。

 日経イノベーション・ラボの山田剛上席研究員は、見出しの自動作成AIについて解説した。記事と見出しを数十万セット読み込ませ、法則を学習させた。現在の段階では「人事のような定型記事には向いているが、コラムや連載記事は苦手」という。

 整理記者の支援ツールとして、将来は「AIが出した候補を参考に、見出しの質を上げられるのではないか」と述べた。記事と見出しを大量に読み込んだ結果、AIが「『日経の作法に沿った記事』には的確な見出しを付けるようになった」(山田氏)とも。AIが付けた見出しの質は、記事の出来映えをみる目安として記者教育にも応用できるのではないかと述べた。

 決算記事の自動執筆AI導入も記者の支援が目的。速報や定型業務を代替し「記者が独自取材や企画記事に専念できる環境を作る」(藤原祥司自動記事生成・翻訳プロジェクトリーダー)ことを目指す。今年1月以降、1万1714件(10月12日現在)の記事を電子版や日経テレコンで配信した。

 企業がPDFと財務情報用のコンピュータ言語で決算情報を公表すると、およそ2分で記事化できる。300社が一斉に決算を公表するピーク時でも、通常通り2分で全社の記事を書き終えたという。藤原氏は「注目社以外の記事も出そろい、多様なニーズに応えられるようになった」と話した。

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