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データ解析から調査報道 日経シンポ AI活用の展望討議

 日本経済新聞社は1月29日、「これからのジャーナリズムを考えよう」と題したシンポジウムを東大安田講堂(東京都文京区)で開いた。米コロンビア大ジャーナリズム大学院、東大大学院情報学環との共催。今後は人工知能(AI)によるデータ分析を端緒とする調査報道が広がるとの予測が示された。報道利用はあくまで記者の取材支援にとどめるべきだとの指摘もあった。

 大量のデータ処理を得意とするAIの報道利用について、日経の渡辺洋之常務執行役員は「調査報道の手法の一つになるだろう」と述べた。AIが見つけたデータの異常値について記者が分析し、取材で肉付けすることなどが考えられるとした。

 米コロンビア大ジャーナリズム大学院のスティーブ・コル院長も、AIの解析結果から報道すべきテーマを見つけるのは「5~10年後には記者の仕事の一部になる」との見方を示した。AIの使われ方は「報道のチェック対象にもなる」と指摘した。

 反政府デモの参加者をあぶり出すためAIによる顔認識システムを使う国もあると例示。「政府がAIを悪用すれば民主主義が脅かされる。技術に精通したジャーナリストが必要だ」と語った。

 AIの報道利用でも倫理面の問題が懸念される。渡辺氏は「AIは暴走する危険がある。特に個人情報に関わることに使ってはいけない」と強調した。取材テーマの発掘も本来は記者の仕事だとし「AIは記者の能力を拡張する道具。これを意識して使うべきだ」と語った。

 渡辺氏によると日経は今春、デジタル技術者と記者・編集者からなる部署を発足させる予定。「将来的にはAIが処理した情報を報道にどう役立てるか、また記者がどのような情報を必要とするかを研究したい」という。

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