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実名の意義説明を 被害者報道で弁護士が講演 日本記者クラブ

 日本記者クラブは3月26日、被害者報道の研究会をプレスセンターホールで開いた。神奈川県弁護士会の武内大徳弁護士が、集団的過熱取材に陥りやすい事件発生直後について「犯罪被害に遭うと、なぜ自己の情報を適切に管理する権利が奪われるのか」と指摘した。ただし、弁護士会として報道対応に当たる際は取材を遮断するのではなく「コメントを出すから引き揚げてほしいと『取引』することで、被害者側が状況を制御できるようにしている」と語った。被害者の家族が望まない中で実名や写真を報じる場合は、メディアが自らの言葉で理由を語るべきだとも述べた。

 神奈川県弁護士会は2010年から、被害者遺族が報道対応の代行を希望した場合、弁護士を通夜と葬儀に無料で派遣している。

 最近は警察発表の直後に遺族宅に取材が殺到する事態に備え、警察から葬儀前に支援要請が来る例が増えているという。16年7月の相模原障害者施設殺傷事件では、武内氏は県警から連絡が来る前に弁護士約30人を集め、態勢を整えた。

 現場では、遺族の意向を確認し短くてもコメントを出すようにしていると述べた。「記者は手ぶらで帰れない。報道陣を拒絶するよりも、『取引』をする方が、状況をコントロールしやすい」という。

 報道の実名・匿名の判断については、明確な切り分けはできないとし「社会的な意義と被害者のプライバシー保護の重みをその都度判断するしかない」との見方を示した。ただし知る権利や社会的意義といった言葉では「もはや被害者を説得することができなくなっている」。被害者を傷つけてでも報道に値すると判断したならば「それに見合う理由をマスコミが自分たちの言葉で考えるべきだ」と語った。

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