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〈福田財務次官が辞任 記者へのセクハラ疑惑〉 報道各社に「名乗り出て」 財務省 

記者会は抗議 取材源保護に配慮欠く

 財務省の福田淳一事務次官が4月18日、辞意を表明した。発端は週刊新潮が報じた女性記者へのセクハラ疑惑。福田氏が否定する中、財務省は被害者にも話を聞く必要があるとして16日、同省記者クラブ(財政研究会)加盟各社に対し、セクハラに遭った記者がいれば調査に応じるよう文書で要請した。財政研究会はこれを拒否。「被害女性のプライバシーや取材記者としての立場がどう守られるのか明確でない」ことに加え、取材過程や取材源を守る記者の職業倫理への配慮に欠けていると抗議した。

 12日発売の週刊新潮によると、福田氏は30代の財務省担当記者と自宅近くのバーで会った際、「胸触っていい?」「エロくないね、洋服」などの発言を繰り返したとされる。新潮は13日に会話の音声データの一部を動画共有サイト・ユーチューブで公開した。

 財務省によると、福田氏は「女性記者とこのようなやりとりをしたことはない。音声データではかなりにぎやかな店のようだが、そのような店で女性記者と会食した覚えもない」と否定。発行元の新潮社を名誉毀損(きそん)で提訴する準備があると述べたという。

 財務省は16日に出した報道各社への要請文で「福田氏からの聴取だけでは事実関係の解明は困難だ」とし、被害を受けた記者がいれば名乗り出るよう求めた。「客観性を担保する」との理由で、同省と顧問契約を結ぶ弁護士事務所が対応すると説明した。麻生太郎財務相も17日の会見で「本人が申し出なければどうしようもない」と述べ、被害女性が判明しなければ事実認定できないとの認識を示した。

 財政研究会は18日、麻生氏、矢野康治大臣官房長宛てに抗議文を出した。福田氏が訴訟準備を進めている中で被害女性が名乗り出ることは「大きな心理的負担で、本人に不利益が生じる懸念が消えない」と指摘。要請は取材源の秘匿という記者倫理への配慮を欠くと訴えた。

 財務省の異例の対応を各紙も批判した。東京の松井学経済部長は18日付朝刊で、財務省は「被害者への配慮を決定的に欠いている」と記した。産経も18日付の社説で、麻生氏の発言は「聞きようによっては、どう喝だ」とし、被害者が女性記者であっても「セクハラ問題対応の大原則は被害女性の保護だ」と訴えた。読売は20日付社説で、セクハラ被害を名乗り出ることは「取材源を明かすことに等しい」とし、財政研究会の対応は当然だと記した。

テレビ朝日 女性記者の被害公表 報道見送りは不適切と反省

 テレビ朝日は4月19日未明、記者会見を開き、同社の女性記者が財務省の福田淳一事務次官からセクハラを受けていたと発表した。同日夜、財務省に抗議文を出した。篠塚浩取締役報道局長は会見で、記者がセクハラの事実を報じるよう上司に求めたものの「本人が特定され、二次被害が心配される」との理由で報道を見送ったことも明かした。この対応については反省しているとした上で、記者が会話の録音データを週刊新潮に提供したのは「報道機関として不適切。遺憾に思う」と述べた。

 同社によると女性記者は1年半ほど前から、福田氏と取材目的で数回、1対1で会食していた。そのたびにセクハラ発言があり「身を守る」ため会話の録音を始めた。今月4日にも食事の席で福田氏からセクハラを受け、途中から会話を録音したという。

 同社は録音内容や関係者の事情聴取からセクハラ被害があったと判断。篠塚氏は会見で、事実をあいまいにしてはならない、という女性記者の思いを確認した上で公表したと説明した。本人から被害の相談を受けたにもかかわらず「適切な対応ができず、深く反省している」とも述べた。

 記者は上司の判断を受け、週刊新潮に連絡した。「社会的責任が重い財務事務次官の不適切な行為が表に出なければ、セクハラ被害が黙認される」と考えたためだという。録音の一部も提供。これについて篠塚氏は「取材で得た情報を第三者に渡したのは不適切だった」と述べた。

 同社は19日、財務省の矢野康治大臣官房長宛てに抗議文を出した。優越的な立場に乗じたセクハラ行為は「到底看過できない」と訴えた。

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