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〈情報公開制度と取材〉 文書の「不存在」を問う 開示請求は範囲明確に 報道実務家フォーラム

 早大院ジャーナリズムコースなどが主催する「報道実務家フォーラム」が4月27~29日、早大国際会議場(東京都新宿区)で開かれた。「情報公開制度をどう使うか」と題した2日目の討議で、毎日東京の日下部聡統合デジタル取材センター副部長が「文書が保存されていないこともニュース」と捉え、制度の機能不全を報じるべきだと述べた。情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、開示請求では得たい文書の内容を具体的に記すことが肝心だと話した。

 毎日は1月、「公文書クライシス」とのワッペンを付け、公文書管理や情報公開制度の実態を掘り下げるキャンペーンを始めた。当時社会部にいた日下部氏らが取材を担当。森友学園に関する電子メールのやりとりを財務省、近畿財務局、大阪府など五つの組織に開示請求したところ、大阪府以外が「不存在」との回答だった。これらをもとに行政文書として保存されるべき電子メールが組織の裁量で削除されている実態を報じた。

 取材当初の感触は「記事にならない」(日下部氏)だった。しかし、組織によって保存と公開の運用が異なることに違和感を覚えた。やがて、文書が存在しないこともニュースだと気付いたという。取材に情報公開制度を使うことにより「その組織の公開の基準を知ることができる。制度が機能不全になっていないかもあぶり出せる」と話した。

 記事では開示請求で入手したことを必ず明示する。「申請すれば誰もが使える制度だと示すことも報道の役割だ」との考えに基づく。

 三木氏は「日本の記者は自らが請求した文書でないと記事化できないと思い込んでいる」と指摘した。欧米では、公文書は「請求者に開示されるものではなく、流通させるべきもの」との意識が強いという。「○○の請求によると」など出所を明示した上で柔軟に活用すべきだと提起した。

 併せて請求時の注意事項も解説した。対象の範囲やキーワードを明確にすることが重要だと話した。文書名や固有名詞が分からない場合はどのような位置付けの文書を求めているかを伝えることが有効だという。議事録ではなく「議事内容の記録」と書き換えたり、「会議」「協議」「調整」「連絡」など関連語句を並べたりする手法を紹介した。

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