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「知られたくない権利」尊重を 被害者の会解散、岡村氏が講演 マス倫月例会

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の月例会が5月28日、新聞協会会議室で開かれた。刑事裁判への被害者参加などを求め実現させた全国犯罪被害者の会(あすの会)顧問の岡村勲弁護士が講演した。全国に被害者支援組織ができたことなどからあすの会は6月3日に解散。岡村氏は「被害者遺族には知られたくない権利がある」と述べ、遺族の同意がない場合は実名報道を控えるよう求めた。

 岡村氏は代理人を務めていた証券会社の顧客に妻が殺されたことをきっかけに2000年、別の事件の遺族とともにあすの会を設立した。当時の被害者は捜査協力や裁判での証言は求められるものの、傍聴席は確保されず、裁判記録も閲覧できないなど「裁判の道具として扱われていた」と振り返った。

 あすの会は独仏の司法機関などを視察し、被害者の権利確立を訴えた。04年に犯罪被害者等基本法が制定。08年には被害者参加制度が施行され、法廷で被告人や証人に質問できるようになった。岡村氏は「苦しみをこれからの被害者に味わわせたくない」との思いが原動力だったと語った。

 近年は新規入会者が年に1~2人程度で、電話での相談も減ったという。メンバーの高齢化や法テラスなど被害者支援組織が各地にできたことから解散を決めた。補償制度改革など残された課題は「被害者が声を上げるのではなく、国や元気な人が率先して取り組んでほしい」と話した。

 岡村氏は被害者の実名報道について「何の罪もなく殺された家族の名前が社会に知らしめられる義務はなぜ生じるのか。遺族の『知られたくない権利』は国民の『知る権利』と同等の価値がある」と繰り返し訴えた。警察の広報文にも遺族の同意がない限り実名を載せないよう求めているとし、報道機関にも同様の配慮を求めた。

 犯罪被害者への取材についても「過熱取材で日常の生活が奪われることも多い。マスコミの自助努力は不十分だ」と述べた。

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