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写真に彩色 資料価値向上 SNSの活用で関心高める 東大院・渡辺教授 《知財セミナー》

 新聞協会は6月7日、新聞社が持つ知的財産の保護と活用の在り方を考える「知財セミナー」を日比谷コンベンションホール(東京都千代田区)で開いた。東大院の渡辺英徳教授は報道写真の活用策として、人工知能(AI)によるモノクロ写真のカラー化を取り上げた。生まれ変わった写真をSNS上に共有することで関心が高まり、資料価値も向上すると述べた。

 渡辺氏はAIによるモノクロ報道写真のカラー化に取り組んでいる。早大院の石川博教授らが開発した自動着色サイトに画像データを取り込めば、数秒で加工できるという。

 昨年、岩手日報が持つ1947年のカスリーン台風襲来時の写真に色を付けた。浸水した一関信用金庫地主町支店付近の様子を再現した。記者が写真を元に被災者を取材したところ、信金の看板が正しくは金色だったことが分かり補正を加えたという。

 渡辺氏はAIが全ての色を正しく認識できるわけではないとし「AIと記者の取材の融合で『凍った記憶』を呼び覚ますことができる」と述べた。過去の出来事を検証する役割を持つ報道機関にとって、着色した写真が呼び起こす関係者の記憶は取材のきっかけになるとした。

 資料の価値を高めるには「保存だけでなく流通させることが重要だ」とも。カラー化した写真は短文投稿サイト・ツイッターで共有している。「AIの力で過去の出来事への印象を新たにすることで、元のモノクロ写真への関心も高まる」と述べた。投稿には必ず原写真と入手元のリンクを張るという。

 記事や取材で得た情報にも、ビジュアル化することで新たな命を吹き込めると述べた。2015年、沖タイなどと共同で沖縄戦下の県民の足取りを可視化したデジタルマップを作製。取材で得た証言を基に1945年3~6月の軌跡を地図上に示した。地図上の顔写真をクリックすると、その人に関する記事が読める。

 多様な証言からは、ひめゆり学徒隊のように本島南部に人が集中したことや、北部や離島に向かった人がいたことも分かった。渡辺氏は「取材相手との信頼関係がある地元紙だからこそ、あいまいな記憶を引き出せた」と振り返った。

 こうした多角的な検証結果を伝えるにはマッピングなどによるビジュアル化が適しているという。「新聞社の取材力を生かすための一つの解決策だ」と語った。

分散型管理で著作権保護を コンテンツジャパン・堀氏

 コンテンツジャパン(東京都中央区)の堀鉄彦代表取締役はインターネット上の取引記録を複数のコンピューターで共有する「ブロックチェーン」について解説した。漫画の海賊版拡散などネット上の著作権侵害が横行する要因は、国際ルールが定まっていないからだと指摘。「ブロックチェーン」が著作物を守る手段の一つになり得るとの見方を示した。

 取引内容を互いに承認し複数のコンピューターで管理するため、データの改ざんが起きにくく「権利証明に向いている」という。誰が入力したかが記録されるため、情報の信頼性を担保できると述べた。

 このほか池村聡弁護士が改正著作権法について話した。新聞・通信52社の126人が参加した。

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