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2003年3
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新聞協会販売委員会が「春の新聞週間」を創設
毎年4月6日は「新聞をヨム日」に

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総広告費は6兆円割る 新聞は媒体中最大の11%減
2002年の広告費――電通調べ

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ニュースパークで新聞付録展

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--3氏に2002年度ボーン・上田記念国際記者賞
--2002年の書籍、雑誌の合計売上額は6年連続減少
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今月の話題>>>
米大リーグ・松井選手を追う日本の新聞各紙
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新聞協会販売委員会が「春の新聞週間」を創設
毎年4月6日は「新聞をヨム日」に

 poster新聞各社の販売活動に関する諸問題を検討している新聞協会の販売委員会はこのほど、毎年4月6日を「新聞をヨム日」と定めた。この日を軸に「春の新聞週間」を設けるとともに、毎年4月の1か月間を「新聞閲読月間」と位置付け、無購読者対策に取り組むよう各新聞社、新聞販売店をはじめ関係者に呼びかけている。

 また、販売委員会では広く世間に知ってもらうため、PRポスター(写真)、チラシ、新聞広告を作製し、会員各社に送付した。

 「春の新聞週間」を4月のどの週に設定するかは、各地域の判断に任せるが、同週間中に集中的に各種活動を展開するよう要望している。日本の4月は会社の人事異動で転勤する人や、大学への入学などで住まいを移す人が多い時期で、これらの人たちに「春から新聞を読み始めませんか」といったメッセージを送る。

 日本の新聞は各新聞社の系統ごとに販売網が組織され、各系統がそれぞれ独自に購読勧誘を行っているが、「新聞をヨム日」「春の新聞週間」の目的は、その系統を超えて無購読者に向けた総合的なPR活動を展開し、環境整備を図ることにある。

 各地域で系統を超えた実行委員会が組織され、試読紙配布キャンペーン、各種のイベント、共同懸賞の実施などを行う予定だ。


総広告費は6兆円割る 新聞は媒体中最大の11%減
2002年の広告費――電通調べ

Advertising Expenditures by Medium(2002)
Advertising Expenditures
(\Billion)
Comparision Ratio(%) Component Ratio(%)
Total 57,032 94.1 100.0
Major Media
Newspapers 10,707 89.0 18.8
Magazines 4,051 96.9 7.1
Radio 1,837 91.9 3.2
Television 19,351 93.6 33.9
Subtotal 35,946 92.4 63.0
Sales Promotion
Direct Mail 3,478 95.5 6.1
Flyers 4,546 99.7 8.0
Outdoor 2,887 96.5 5.1
Transit 2,348 94.7 4.1
POP 1,720 101.3 3.0
Telephone Directories 1,559 94.4 2.7
Exhibitions/Screen Displays 3,278 94.7 5.8
Subtotal 19,816 96.7 34.8
Satellite Media 425 90.2 0.7
Internet 845 115.0 1.5
 電通は2月17日、2002年の日本の広告費を発表した。総広告費は前年比5.9%減の5兆7,032億円と2年連続の減少で、減少幅は前年より5ポイント拡大した。新聞は11.0%減の1兆0,707億円で媒体中最大の減少幅だった。媒体別広告費に占める新聞広告費の割合は20%台を切った前年からさらに1.1ポイント縮小し、18.8%となった。

 2002年の総広告費は、米ソルトレークシティ冬季五輪や日韓共催のサッカーワールドカップ(W杯)などのビッグイベントがあったものの、雇用・所得環境の低迷など日本経済の景気後退感が広がる中、多くの企業が広告費を抑制し、前年を大きく下回った。

 マスコミ四媒体の広告費の動向は表の通り。

このうち新聞の広告費は、前年の不調が加速化し、厳しい1年だった。W杯などで4月から6月にかけて徐々に回復の兆しを見せたが、株式市場の低迷、企業収益の悪化などにより再び下降に向かった。

 全国紙は11.7%、地方紙は8.5%、スポーツ紙は8.0%の減少。

 出稿業種別に見ると、2000年までは新聞広告の成長を支えてきた「情報・通信」(23.0%減)、「金融・保険」(21.3%減)などが大幅に減少。「自動車・関連品」(11.3%減)、「不動産・住宅設備」(12.3%減)、「案内・その他」(15.6%減)なども低調だった。「食品」では健康食品などの出稿が好調だったが2.5%減少した。治験広告などが活発な「薬品・医療用品」(5.9%減)も前年を割るなど、「精密機器・事務用品」(8.4%増)を除く全業種が前年を下回る結果となった。

 電通は、2003年のマスコミ4媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告費の見通しを、前年比0.4%程度の増加と予測している。広告環境が引き続き厳しい状況下、企業業績の改善、情報技術(IT)関連の生産や販売の回復傾向など企業環境に明るい展望が見られるほか、多くのメディアで広告媒体の開発、向上への積極的な取り組みが期待されるとした。

 新聞の出稿については、競争の激化が予想される「情報・通信」「金融・保険」分野の回復や、プラズマ・液晶テレビの販売で「家電・AV機器」分野が、また販売競争の激しい「自動車・関連品」分野が復調の傾向にあるが、全体では大きな回復とならず、広告費はほぼ横ばいで推移すると見込んでいる。

ニュースパークで新聞付録展

 日本新聞博物館(ニュースパーク、横浜市

)主催の企画展「新聞附録万華鏡――おまけにみる明治・大正・昭和」が3月1日からスタートした。6月2日まで開催する。

 同博物館が所蔵する3000点以上の新聞付録から約270点を展示し、新聞付録の歴史を紹介する。新聞付録は読者サービスの一つとして、戦前までは新聞と一緒に配布されたもの。

大事件を描いた図版、有名人の肖像画、風刺漫画、芝居や講談の速記、すごろく(ゲーム)など多種多様な新聞付録からは、明治・大正・昭和それぞれの時代の雰囲気が伝わってくる。

 このほか、会場に2台のパソコン端末を設置。所蔵3000点の新聞付録データベースを公開する。


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2002年度ボーン・上田記念国際記者賞
川上泰徳(朝日新聞)
平井久志(共同通信)
鈴置高史(日本経済新聞)3氏に

 「ボーン・上田記念国際記者賞」選考委員会は2月24日、2002年度の同賞を、朝日新聞社中東アフリカ総局長の川上泰徳(かわかみ・やすのり、47歳)、共同通信社中国総局員(当時・現ソウル支局長)の平井久志(ひらい・ひさし、50歳)、日本経済新聞社香港駐在記者の鈴置高史(すずおき・たかぶみ、48歳)の3氏に授与することを決めた。授賞は毎年一人を原則としているが、今回は3氏の業績に優劣が付け難く、異例の措置となった。

 この賞は、太平洋戦争の前後にわたり、報道活動を通じて国際理解の増進に寄与し、1949年に東京湾で事故死したマイルズ・ボーン米UPI通信社副社長と上田碩三元電通社長の業績を顕彰するため、日本の報道界およびボーン未亡人の拠金により、アメリカのピュリツァー賞にならって1950年に発足した。いらい各年度ごとに、優れた報道活動で国際理解に貢献したジャーナリスト個人に贈られている。

授賞理由と授賞者の略歴は次の通り。

川上泰徳記者 朝日新聞社の川上泰徳記者は、激しく揺れるイスラム社会、なかでもパレスチナ問題に精力的に取り組んできた。同時多発テロのあとパレスチナで緊張が一気に高まると、すぐにアラファト自治政府議長と単独会見して和平解決への展望を探った。イスラエル軍によるヨルダン川西岸への侵攻が始まると他社に先駆けてベツレヘムやジェニンに入って現地の凄惨な状況をつぶさに報道するとともに、危機の政治的、社会的背景を深みのある分析にまとめた。まず何よりも現場を踏むというジャーナリストの原点を貫いた姿勢が、豊富なデータや分かりやすい記事とあいまって、複雑な背景を持つパレスチナ危機の底流を日本の読者に知らせるのに貢献した。

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川上泰徳記者略歴 長崎県出身。47歳。

 81年大阪外国語大学アラビア語学科卒、朝日新聞入社。学芸部などを経て92年外報部に移り、94年から約3年半中東アフリカ総局員。01年4月からエルサレム支局長、02年9月から中東アフリカ総局長を兼任。


平井久志記者 共同通信社の平井久志記者は、前後2回の韓国勤務で北朝鮮ウオッチャーとしての実績を積み、99年から北京の中国総局勤務になった。昨年7月には、北朝鮮が策定した大規模な経済改革計画を世界に先駆けて報道した。さらに、ここ数年深刻な食糧難などに苦しむ北朝鮮から中国に脱出する脱北者の動静を綿密にフォローするとともに、支援関係者らと緊密な信頼関係を構築した。昨年5月に瀋陽市の日本総領事館への集団亡命事件が起きると、平井記者はいち早く情報を入手し、5人の北朝鮮住民が総領事館に駆け込む状況を向かいのビルからつぶさにビデオに撮影した。この映像は全世界で繰り返し報道されて、人権擁護などの観点から大きな反響を呼んだ。日本の駐中国大使が脱北者の駆け込みを念頭に置き、事件直前に職員らに「不審者と見なして追い出すように」と発言していた事実も、平井記者の報道で明るみに出た。

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平井久志記者略歴 香川県出身。50歳。

 75年早稲田大学法学部卒、共同通信社入社。83年韓国・延世大学に語学留学、85年外信部に配属。89年から第1回のソウル特派員を3年あまりつとめ、95年6月、支局長として2度目のソウル勤務。99年1月に北京の中国総局勤務、03年1月3度目のソウル勤務(支局長)。


鈴置高史記者 日本経済新聞社の鈴置高史記者は99年から香港駐在となり、日本で培った企業取材の幅広いノウハウを生かして、中国を中心にアジア全域を対象とした報道や分析にあたっている。従来、中国については政治、外交、軍事の分野での記事や解説が多く、経済についてもマクロの動きに焦点を合わせるものが大半だった。そんな中で鈴置記者は、産業や企業の動向という新鮮な切り口から中国をとらえ、ミクロの動きを積み上げて再構築した中国像を読者に提示するユニークなアプローチを開拓した。同記者はまた、アジア諸国の産業・企業の取材から、停滞する日本の産業界への警鐘を鳴らし続けている。

suzuoki

鈴置高史記者略歴 愛知県出身、48歳。

 77年早稲田大学政治経済学部卒、日本経済新聞社入。地方支局、産業部、大阪経済部などを経て国際部、アジア部に配属、ソウル支局にも勤務。米ハーバード大学留学を終えて99年から現職。



2002年の書籍、雑誌の合計売上額は6年連続減少

 出版科学研究所がこのほどまとめた2002年出版動向によると、書籍と雑誌の合計売上額(推定)は、前年比0.6%減の2兆3千105億円となり、1997年以降6年連続で前年を下回った。売上額は91年以来の低水準で、出版界の長期低迷を印象づけた。

 出版科学研究所は長期低迷の要因について、「景気低迷もさることながら、少子化により、本をたくさん読んでしかるべき若年人口が減少している。また、インターネットや携帯電話の普及による情報収集とライフスタイルの変化、新古書店や図書館の利用増など、所有して読むという従来の読書行動が変化し、書店での購買に結びつかない構造的な問題になってきた」と分析している。

 書籍の売上額は前年比0.4%増の9,490億円。「ハリー・ポッター」シリーズなど、比較的高額の書籍がよく売れたことが96年以来6年ぶりのプラスにつながった。推定販売部数は7億3909万冊(同1.3%減)で、6年連続のマイナス成長。

 雑誌の売上額は前年比1.3%減の1兆3,650億円で、98年から5年連続の前年割れ。

 発行部数では月刊誌、週刊誌ともに同2.1%減だった。総合週刊誌の発行部数は、新聞社系6誌および、出版社系8誌はともに、前年比0.6%減だった。

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米大リーグ・松井選手を追う日本の新聞各紙


 日本の新聞各紙は、連日大きく紙面を割いて大リーグのニューヨーク・ヤンキースに移籍した松井秀喜選手の動向を報道している。

 これまでにもマリナーズのイチロー選手や佐々木選手、ドジャースの石井選手といった日本人大リーガーや、プロサッカーの欧州リーグに移った中田英寿選手なども大きく報じられてきたが、実力、人気ともにトップだった松井選手に関する報道量は、イチローや中田をはるかにしのぐことになるだろう。

 松井選手を追っているのは、スポーツ情報や娯楽の提供を中心とするスポーツ紙に限らず、一般紙も同様で、多くの新聞社が松井選手の専属記者を現地に派遣、また、現地で契約社員を採用する社もある。

 ただし、海外スポーツの取材、報道には時差の問題がつきまとう。例えば松井選手のヤンキース入団会見は、日本時間の1月15日午前2時15分(現地時間14日午後零時15分)だった。通常ならば朝刊の印刷が終わるろうとする時間だ。

 現在新聞協会に加盟するスポーツ紙の多くは朝刊紙だが、一部のスポーツ紙は印刷、輸送ともに特別態勢をとり、同日付の朝刊紙面でヤンキースのユニフォームに袖を通した松井選手の写真を掲載した。

 掲載した新聞社の編集幹部は「今後も大きなイベントの際には、こうした態勢で臨む」と話す。また、「いかにぎりぎりまでニュースを載せられるかで内容に差が出る」という編集幹部もいる。

 さらに、松井選手のニューヨーク行きは、米東海岸との時差への対応という新たな課題をもたらした。

 イチロー選手や石井選手が所属するマリナーズやドジャースは、西部地区のチームでナイター終了時刻が日本時間の午後2時ごろ。それまでに印刷が終わる夕刊に、試合結果を掲載することは無理だった。

 しかし、松井選手が移ったヤンキースは東海岸のチーム。ナイターでも日本時間の正午前には終了する。試合結果の夕刊への掲載が可能になり、「松井報道」を夕刊改革の一つすると意気込む一般紙も多い。すでにオープン戦段階から松井選手のその日の結果を夕刊で報じるほか、大リーグ関連の報道も増やしている。公式戦が始まれば、報道の量、質ともにますます増えることは間違いないだろう。

 半面、多くが朝刊紙のスポーツ紙には不利な条件となる。松井選手の試合結果の掲載が翌日の朝刊になってしまうからだ。

 このため朝刊紙のスポーツ紙の大リーグ報道は、必然的にフィーチャー記事などに力点が置かれるようになるだろう。各紙の編集幹部も「結果を報じるだけのメディアは読者から排除される」、「試合結果をメーンにはできない。深い取材と筆の立つ人材が必要になる」などと述べている。

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