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2003年8月
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広告委が改正健康増進法ガイドライン案に意見書

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毎日が戦場取材指針の骨格案発表

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-- 大震災報道展始まる
-- 日本外国特派員協会の新会長にマイロン・ベルカインド氏(AP通信)
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今月の話題>>>
記事データベースと人権配慮
――社内組織で個々の事例検討、公開期間を制限する社も
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広告委が改正健康増進法ガイドライン案に意見書

新聞協会広告委員会は7月23日、虚偽誇大広告の禁止等を盛り込んだ改正健康増進法のガイドライン案に反対する意見書を厚生労働省に提出した。虚偽誇大広告を掲載した媒体の責任に直接言及し、広告以外の書籍などでの記載も規制対象とすることへの慎重な対応を求めた。

健康増進法は今年5月1日に施行された。健康の保持増進の効果等を期待させる虚偽誇大広告の増加を背景に7月23日に一部改正。

厚労省は改正法の施行を8月末に控え7月3日、「健康増進法の一部を改正する省令案」および「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導の指針(ガイドライン)案」などを公表した。

改正法は、食品に関する表示で、健康の保持増進に関する効果を「著しく事実に相違する」「著しく人を誤認させる」表示の禁止を規定。ガイドライン案などには、虚偽誇大広告の禁止表示について、その定義や規制対象範囲などが盛り込まれた。

中でも規制の対象者には、当該広告を掲載した新聞、雑誌、テレビなどの媒体も含まれると言及。書籍、冊子、ホームページ等で特定食品や成分の健康増進効果等を説明する際、その説明付近に当該食品の販売業者の連絡先などが容易に認知できる形で記載されている場合なども、「広告」と判断するとしている。

禁止規定に違反し厚労相の勧告や措置命令にも従わない場合には、罰則が科される。

広告委員会は、諸判例で確定している広告主責任の原則を全面否定する内容には問題があり、書籍等での記載を広告表示規制の対象とすることは言論、表現の自由を侵害するおそれがあると主張している。


毎日が戦場取材指針の骨格案発表

毎日新聞は6月28日付朝刊で、戦場や紛争地など危険地域における取材ガイドラインの骨格案を発表した。ヨルダン・アンマンの空港で起きた同社元写真部記者の所持品爆発事件を機に発足させた「戦場取材のための教育プログラム検討会」がまとめた。同社の歴代海外特派員の間で受け継がれてきた教訓や注意事項を核として「出発前」「取材上の注意」「宿泊」「帰国後」の4項目にわたっている。

同検討会は事件の反省を基に、記者の危険回避能力の向上と危機管理意識の徹底を目的に事件直後に発足、内外の主要メディアの戦場取材に関する内規や研修制度などについて聞き取り調査をしてきた。

北村正任常務取締役主筆は同紙面で、「ガイドラインは、現場における個々の記者の柔軟な判断を縛るものではなく、想定外の出来事に遭遇する記者の『心構え』として活用すべきものと考えている。今後さらに各方面の意見を聞き、検討を重ねた上で『記者ハンドブック』にまとめる」と述べた。

同社は、既に英国の危機管理会社が行う危険地域での行動の実践的研修に、記者一人を派遣した。また、今後、危険地域での取材をする可能性の高い記者を中心に初回の社内研修を行い、それらの成果も踏まえて「記者ハンドブック」をまとめるという。

ガイドライン骨格案の主な内容は以下の通り。

【出発前】

取材対象地域に関する政治状況、生活習慣など安全面にかかわる情報収集に努める
現地で使われる可能性のある兵器について情報を集める
【取材上の注意】
紛争地などでは運転手や助手、通訳には現地情報に精通した信用できる人物を選ぶ
記者登録が必要な地域では、必ず所定の手続きをとり、プレスカードなどの交付を受ける
武器は持たない。また持つ人間との行動には細心の注意を払う
戦場では、兵器の残がいや遺棄された武器爆弾類に手を触れない
やむを得ず地雷敷設の恐れがある地域に入る場合は前の人が歩いた足跡や、前の車のタイヤの後をたどって移動する
夜間の移動はできるだけ避ける

軍が撤収した直後に現地入りする場合は、特に注意して情報収集に努める

【宿泊】

危険地域での宿泊はなるべく避ける。空爆や砲撃を受ける恐れがあるホテルに宿泊する時は、防空ごうとして使われる地下室などへの避難ルートを調べておく

【帰国後】
長期取材に携わった者は、健康診断とともに、メンタル面でのカウンセリングを受けるようにする

 


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大震災報道展始まる

日本新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)の関東大震災80周年企画「大震災と報道展」が7月15日、スタートした。今年、発生から80周年を迎える関東大震災、まだ記憶に残る阪神大震災など、第2次大戦前から戦中、戦後に起きた大震災に関する報道を、紙面・記事、号外、テレビ映像など約260点の展示で振り返る。また、東海大地震など今後予想される大地震発生時に、新聞や放送が果たす役割なども紹介している。開催は10月19日まで。

関東大震災では、東京の新聞社は機能がまひしたため、各社は手書きの号外を発行。復刊後は、被害状況、尋ね人・列車運行情報などの生活情報を連日報道した。

太平洋戦争下の1941年から45年まで、東南海地震など死者1000人を超す大地震が3回発生したが、政府・軍の報道管制により、これらの地震の被害はほとんど報道されなかった。報道の役割を果たせなかった点で大きな教訓を残した。

阪神大震災では、地元・神戸新聞社が被災し、新聞発行が危ぶまれたが、京都新聞社の協力を得て、新聞発行を続けた。

今後、南海、東海、宮城県沖、十勝沖などの大地震が予想されており、新聞各社は「減災」「防災」報道に取り組んでいる。各紙の関連紙面や災害で被害を受けた際の新聞社間の協力体制なども展示で紹介している。

このほかNHKの安否情報システム、地震発生の瞬間の映像をとらえる「スキップバックレコーダ」システムを実演している。



日本外国特派員協会の新会長にマイロン・ベルカインド氏(AP通信)

The Foreign Correspondents' Club of Japan(FCCJ)は6月20日の会員選挙で、AP通信東京支局長(Chief of Bureau,Tokyo The Associated Press)のMyron L.Belkind氏を会長に選任した。

また、The Foreign Press in Japan(FPIJ)は24日に開いた総会で、前FCCJ会長でオランダのNRC Handelsblad紙のHans van der Lugt 特派員を会長に選任した。任期はともに7月1日から1年間。

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記事データベースと人権配慮
――社内組織で個々の事例検討、公開期間を制限する社も

新聞・通信社が記事などのデータベース事業を展開するうえで、人権・プライバシーへの配慮、対応が大きな課題となっている。蓄積されたデータにより人権やプライバシーの侵害が起きないよう配慮する必要がある。しかし、記事データベースとしての価値や報道機関の役割を考えると、記事に登場する当事者からの要請であっても無制限に修正、削除はできない。データベースを公開する各社は、社内に委員会を設置し個々の事例を検討するほか、事件・事故に関する記事の公開を制限するなどの対応をとっている。

新聞協会の「新聞・通信社の電子・電波メディア現況調査」(2003年1月実施)によると、記事、写真、紙面イメージなどのデータベース事業に参入している新聞・通信社は32社となっている。

データベース上の人権保護に関しては、読売が1988年、後に不起訴となったり裁判で無罪判決を受けたりした逮捕記事に「続報注意」の印を付ける措置を実施。その後、多くの社がこれに続いた。

また、データベースの公開が一般に浸透するにつれ、刑を終えた事件当事者から「いつまでも逮捕記事が収録されていると、再就職の障害となるので削除してほしい」との要望や、事件・事故の被害者、遺族から「亡くなった親族の名前が、いつまでも掲載されているのは忍びない」といった声が多く寄せられるようになった。各社は個々の事例やガイドラインなどに則して、匿名への切り替え、記事の削除、公開期間の制限、見出しだけの公開などの措置をとっている。

毎日新聞社は過去一年間の記事検索ができるサービスのほか、87年以降の記事を検索できるデータベースを有料で公開している。記事データベースに関連し、問題が起きた時は社内の「個人情報保護委員会」で対応を検討。さらに、月一回「メディア審査会」を開き、委員会のメンバーに顧問弁護士を交え、人権・プライバシーに関する問題事例の報告を受けている。

日本経済新聞社は75年以降の記事を有料公開している。問題が起きた場合は関係部局で協議し、記事削除などの判断を下す。

今年4月に2000年からの写真、02年からの記事、紙面イメージの統合データベースを有料公開した茨城新聞社は、社内の「著作権検討委員会」で、記事を修正、削除する際の基準作りを検討している。個別に問題が起きた場合も委員会で検討するが、現在まで案件は出ていないという。

ガイドラインを作成している社もある。86年の記事から検索可能なサービスなどを有料公開している読売新聞社は2002年1月、社内に「電子メディア苦情処理委員会」を設置。同社がこれまでに公表している記述原則に準拠した内容に加え、記事削除などの基準を定めた「外販データベース、インターネットにおける個人情報保護のガイドライン」も、あわせて作成した。同委員会は、当事者などから削除等の要求があれば、ガイドラインを基に検討する。軽微な事件・事故は、一律に削除するシステム上の方策も模索しているが、まだ実施は難しいという。

92年以降のデータベースを有料公開している産経新聞社は、社内横断的組織「著作権・肖像権問題研究会」が2002年4月にガイドライン案を作成。これに沿って個々の事例を検討し、記事の削除などを行っている。

有料のデータベースで記事の公開期限を設けている社も多い。

88年以降の記事を有料公開している北海道新聞社は、微罪の記事に関しては人権に配慮して五年で削除する。98年以降の記事を有料公開する琉球新報社も事件・事故の記事は原則として約1年で非公開にしている。

共同通信社は88年以降の記事を有料で公開しているが、社会面向けの小さなニュースは原則として、掲載から5年間で自動的に削除される。

愛媛新聞社はデータベース自体の公開期間を5年と定めている。後に訂正が出された記事は、元の記事に修正を加えている。

中日新聞社は87年以降の記事を有料公開。問題が生じる恐れのある記事に印を付け、公開から一定年数が経過した記事を削除できるよう準備している。

84年以降の記事を有料公開する朝日新聞社は、現在は個々の事例に則して対応しているが、記事の出稿段階で「3年経過したら削除」などのタグを付けておくことまでは社内合意ができている。早ければ今秋にも開始する。同社では社内の「データプライバシー検討部会」が個々の事例に対応しつつ、基準作りを検討している。

事件・事故に関する記事は原則非公開としている社も、地方紙を中心に多い。

京都新聞社、神戸新聞社、中国新聞社は、商用データベースには大事件や公務員の汚職などを除き犯罪報道は掲載していない。91年以降の記事を有料公開している河北も、議員の汚職事件など、社会的に公開が容認されると判断した記事を除き、事件・事故の記事は非公開。八九年以降の記事を有料公開している西日本新聞社も、事件・事故の記事は原則として公開しない。

4月から図書館、自治体などに記事、写真、紙面イメージの統合データベースを有料公開、今秋からは一般個人会員への公開を予定している山陽新聞は、96年以降の記事を収録。問題が生じる恐れのある記事は本文を削除し、見出しだけを公開している。また、紙面イメージの公開は約3か月分に限定している。

95年以降の記事を有料公開している信濃毎日は、事件・事故の記事について、個人会員向けのデータベースは見出しだけ公開。日経テレコンを通じて提供しているデータベースでは見出し、本文とも非公開にしている。事件・事故を扱った記事の外部公開に当たっては、殺人、誘拐、強盗など大きな刑事事件、公共的な施設の火災など7項目のガイドラインを設けている。

読者のみなさんへ

日本では記事データベース上の人権配慮はかなり大きな問題となっています。日本以外の各国でも同じような問題はあるのでしょうか?あるとしたらどのような対応を取っているのでしょうか。あなたの国の状況や考え方をメールなどで知らせてください。

(編集部より)

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