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2008年6月
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全国メディア接触・評価調査まとまる 新聞協会広告委員会

* 毎日新聞が北海道支社で夕刊廃止
* 有害情報規制法案に意見書  新聞協会 メディア開発委
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*Topics
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成果を上げる中高層マンション対策 
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全国メディア接触・評価調査まとまる 新聞協会広告委員会

 新聞で商品を知り、関心を持った人は、その商品を購入した後、購入した商品に満足する割合が高い、また、こうした人は購入した商品を他人に薦め、再購入する割合も高い――などとする調査結果を新聞協会が発表した。

新聞協会広告委員会は4月9日、「2007年全国メディア接触・評価調査」結果を発表した。

調査は、購買に至る意思決定過程を「認知・関心→情報検索→店頭誘導→購買行動」の段階に分類。加工食品・飲料、書籍・雑誌、パック旅行、ファッション・ブランド品・腕時計、テレビ、自動車、金融商品の七つについて、意思決定過程の各段階で接触したメディアごとに、購入した商品に満足した人の割合を示した。

 商品の購入前に何らかのメディアなどで認知・関心を持った場合、商品に満足した人の割合は54・7%。新聞で認知・関心を持った人は、61・0%が商品に満足していると答えた。テレビは58・5%にとどまる。新聞で認知・関心を喚起することで、購入した商品に満足する消費者の割合が高まることが分かった。

 7つのうち「加工食品・飲料」の分野では、購入者全体の53・6%が商品に満足しており、新聞で認知・関心を持った人が満足する割合は59・0%に上った。このうち、新聞(認知・関心)→折り込み広告(情報検索、店頭誘導)を経て購入した場合は、満足した人の割合が97・0%で最も高かった。

 「書籍・雑誌」については、購入者全体の中で満足した人の割合は51・7%。新聞で認知・関心を持った人では59・1%だった。新聞(認知・関心)→家族、友人・知人(情報検索)→新聞(店頭誘導)を経て購入すると、満足した人の割合が93・6%で最も高い。他の媒体を経ずに、新聞だけで(認知・関心)から(情報検索、店頭誘導)後、購入した人の中では、87・4%が満足したと回答した。新聞(認知・関心)→インターネット(情報検索、店頭誘導)を経て購入した人では79・8%にとどまった。

 また今回は、新聞への満足と、購読を継続する意向を尋ね「新聞エンゲージメント」という指標を作成した。この度合いに応じ回答者を高、中、低の三層に分け、他メディアへの接触状況と購買行動を探った。

 その結果、新聞エンゲージメントの高い層は、他の層よりテレビやネットに対する評価が高く、積極的に接触していた。購買行動でも商品に満足し、購入した商品を人に薦め、再購入する割合が高いことが分かった。

 この調査は2001年から隔年で実施され、今回が4回目。全国の15才以上69歳以下の男女6,000人を対象に07年10月に実施した。有効回答率は60・3%。調査結果は新聞協会のウェブサイト「新聞広告データアーカイブ」(http://www.pressnet.or.jp/adarc/)で公開されている。


毎日新聞が北海道支社で夕刊廃止 


 毎日新聞社は、全国で朝刊・夕刊1日2回発行しているが、5月13日、北海道支社管内で夕刊を廃止し、9月1日から「新朝刊」(リニューアルした朝刊のみ)を発行すると発表した。月決め購読料は、(一部ローカルエリアで発行している朝刊と夕刊を統合した)「統合版」と同じ3,007円。北海道以外の地域では夕刊発行を継続する。

 全国紙の夕刊廃止は、産経新聞社が2002年に東京本社管内で廃止して以来となる。

 新朝刊は、従来の朝刊に比べ4ページ以上ページを増やす。「くらしナビ」面(ライフスタイルのページ)や社会面を増やすほか、夕刊掲載のコラム、記事などを盛り込む。毎日新聞社社長室広報担当は「北海道の読者からの要望に応えた」としている。

 ニュースサイト「毎日jp」との連携を緊密にするほか、北海道支社報道部が07年から始めた「記者ブログ」も充実させ、読者と双方向でつながる新聞を目指すという。

 日本ABC協会調査によると、北海道支社管内の07年下期平均の部数は、朝刊が6万9,427部、夕刊1万5,625部。夕刊部数は、06年下期平均で1万8,032部、1997年下期平均で2万4,773部だった。

同期の平均ページ数は、朝刊が26.8ページ、夕刊が8.7ページ。

有害情報規制法案に意見書  新聞協会 メディア開発委


 メディア開発委員会は5月29日、自民・民主両党が検討を進める青少年への有害情報規制に対し、「直接・間接を問わず、国がコンテンツの内容にかかわる問題に関与すべきでない」として、公権力の表現内容への介入を危惧する意見書を衆議院青少年問題に関する特別委員会の玄葉光一郎(げんば・こういちろう)委員長(民主)に提出した。

意見書は山田哲郎(やまだ・てつろう)メディア開発委員長(時事)らが、玄葉氏に手渡した。山田氏はインターネット上の有害情報を自民・民主両党が法律で規制しようとしていることに対し「表現の自由にかかわる問題であり、法制化が表現活動に悪影響を及ぼすことを懸念する」などと訴えた。

 意見書では、情報が有害か否かの判断は「主観的な要素も多く、時代や文化、社会環境により異なる」と指摘。情報内容が有害かどうかを法律で定義することは「表現の自由に反する恐れがある」と述べた。

 有害情報が定義された場合、流通・閲覧の制限にとどまらず、表現内容の規制に拡大しかねないと指摘。「公的な規制が委縮効果をもたらし、ネット以外のメディアにも同様の規制が広がる」と危惧し、民間による自主規制を尊重すべきだと訴えた。

 意見書は、玄葉氏のほか、自民党の谷垣禎一(たにがき・ていいち)政調会長や山口俊一(やまぐち・しゅんいち)・高市早苗(たかいち・さなえ)両議員、民主党の松本剛明(まつもと・たけあき)議員らに提出した。

 自殺情報を提供するサイトや出会い系サイトなど青少年の育成上望ましくないいわゆる有害情報サイトが、だれでも自由に閲覧できるばかりか、それを通じて青少年が事件に巻き込まれるなど、看過できない状態にあるとして、自民・民主両党は法制化に向け検討を進めていた。

 両党は5月28日、実務者協議で、同委に委員長提案で規制法案を今国会に提出することで合意、今国会での成立を目指している。

 法案には、利用者が十八歳未満の子供の場合、フィルタリングの提供を携帯電話会社に義務付けることなどを盛り込む。有害か否かの判断は、民間の第三者機関に委ねる方針だ。

 ただし、第三者機関をめぐっては、自民党が「政府が指定、または登録する機関」とするのに対し、民主党は「間接的でも国の関与を認めることにつながり、表現の自由を侵害する」と反対している。

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マスコミ倫理懇談会が60周年記念シンポジウム開催 

 マスコミ倫理懇談会全国協議会は5月24日、今年1月に結成50周年を迎えたことを記念し、公開講演会を東京・内幸町の日本プレスセンターホールで開いた。一般参加者を含む200人が参加。東京大学大学院情報学環の浜田純一教授が「メディアの公共性と主体性」をテーマに講演した。

 浜田教授は冒頭、近年のメディア批判が「メディアの公共的性格にも疑問を投げかける構造的なものとなっている」と指摘した。背景には、メディアがその存在証明としてきた「公共性」への疑念があるとし、メディアが直面する困難の多くは「一つの価値を一方的、啓蒙的に伝えてきたメディアの伝統的スタイルを受け止める社会基盤の変化が関係している」と述べた。

 現代社会においては、人々が価値を共有する場がごく身近に限られてしまい、従来、異論なく共有されてきた「一元的な価値を語る公共性」が弱まっていると見る。そうした中では「価値の多様性を前提に議論し、理解し合う中で共有できる点を生み出すプロセスこそが公共性となる」と指摘。メディア内部だけでなく、外部の多くの人とのかかわりの中で公共性を実現する「『手続き的な公共性』が今の時代には求められている」と話した。

 また、メディアは難しい環境に置かれているが「社会の変化を正面から受け止めるのであれば、正当性を承認される絶好の機会となる」と強調。マス倫が公衆とともに考える試みをさらに進めることは「メディアの在り方、ひいては社会の在り方を模索することにつながる」と話し、今後の活動に期待を寄せた。

 マスコミ倫理懇談会は、1954年、政府による出版への取り締まりが強化される中、不当な圧迫を排除するため、「マスコミュニケーションの倫理基準に関する懇談会」が東京で開催されたことをきっかけに翌55年、新聞協会があっせんやくとなり第1回東京地区マスコミ倫理懇談会が開催されたのが始まり。

 その後大阪地区、東海地区、九州地区で懇談会が発足。58年に各地区懇談会が全国協議会を発足させ、マスコミ倫理懇談会全国協議会として50周年を迎えた。

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成果を上げる中高層マンション対策 

 セキュリティーロック付き中高層マンションで、1階ではなく階上の戸口まで新聞を配達できるようにしよう、という新聞協会の取り組みが成果を上げつつある。各新聞社が協力したこと、大規模マンション開発が増加したことも重なり、東京地区新聞公正取引協議会、関東地区新聞公正取引協議会の成功例は140件(マンション)を超した。関西でも、ニュースペーパー・デリバリー・サービスシステム(NDS)を取り入れ、約50件の階上配達を達成した。今後は、新築に比べ実現が難しいとされる既存物件や比較的規模の小さなマンションへの取り組みが課題となる。

 日本の新聞は94.3%が戸別配達で直接読者の元に届けられている。これが、1部当たり人口2.44人という高い普及率を支えている。しかし、近年都市部を中心に入り口にセキュリティーロック付きのマンションが普及、新聞配達人がマンションの居住区域に立ち入れず、階上の各家庭の戸口まで新聞が配達できない状況が増えている。上層階から1階の郵便受けまで毎朝、新聞を取りに降りるのが面倒などの理由で、新聞を定期購読しない世帯が増えていた。勧誘もできないことから、普及率の低下も招いており、対策が求められていた。

 新聞協会は2005年、販売委員会の下に「中高層マンション対策小委員会」を設置し、階上配達の実現に向け取り組み始めた

■イメージアップで成功

 東京地区協は2005年5月「マンション対策実行委員会」を設置した。06〜07年に中高層マンションの完成が相次ぐことを視野に入れた。各新聞社間で、ディベロッパー(開発会社)の新築情報を共有することで、個別の社が単独で働きかけるより、より効果的にディベロッパーと交渉がすすめられ、成功事例を積み重ねた。06年度は8月以降だけで東京、関東地区協合わせ45件、07年度は97件の階上配達を実現した。

 この背景に、読売東京の佐々木平開発部次長は、配達人がマンション内に入ることは、実は「防犯に役立つことを積極的に訴え、信頼を得てきた」ことを挙げる。入居者説明会や内覧会では過度な営業を避け、「礼儀作法や服装をきちんとした」ことが、新聞業界全体のイメージアップにもつながったと指摘する。

■NDSを導入

 関西では06年1月、全国各紙と京都新聞、神戸新聞が開発・管理会社との交渉窓口となるNDSシステム西日本センターを設立した。後に、中日新聞も加わった。

 NDSは、朝の4時から6時までなど、マンション内に立ち入るための鍵の使用時間を設定することができるため、新聞配達時にだけ解錠できるなど、安心のシステムである。

 センターの理事長を務める朝日大阪の神崎正雄・営業開発部営業推進担当部長は「新聞業界を挙げて安心感を追究しつつ、購読者の利便性を図った」と話す。08年3月末までに約50件の階上配達を達成した。

■ICカード活用も

 関東では、静脈認証システムやセキュリティーゲートなどを設けるマンションができるなど、今後もマンション住民の安全・安心の意識は高まると関係者は口をそろえる。

 こうした課題の解決に向け三井不動産レジデンシャルが開発したシステムに注目が集まる。同システムは、ICカードや監視カメラを活用し、解錠を早朝など特定の時間帯に制限でき、紛失したカードでは解錠できないよう設定もできるため、階上配達を可能とする。09年9月に完成する東京・目黒のマンション(83戸)に初めて導入される。

 既存物件への取り組みも課題に挙がる。階上配達の成功事例は増えているものの、新築で24時間有人管理型の大型マンションが多い。東京のマンションの70%程度はいまだに階上配達ができていないのが実態だ。既存物件は、住民総会などで多数の賛成を得る必要もあり、階上配達の実現が新築に比べ難しい。

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