4月30日付 ゆかりの地、登場人物追う

奈良「神代(かみよ) 人代(ひとよ)―古事記完成1300年」

 国内最古の歴史書とされる古事記の完成から1300年を迎えた昨年の元日に、連載は始まった。古事記の登場人物を追う中で、ゆかりのある人々や、奈良県内の神社、遺跡などにスポットを当て、歴史を振り返った。

 第1回は、編者として知られる太安万侶の人物像を追った。1979年に奈良市の茶畑で安万侶の墓誌を発見した男性や、これを発表した県立橿原考古学研究所の元研究員らに話を聞いた。古事記の語り部である稗田阿礼を取り上げた回では、県立図書情報館の館長や、阿礼を祭る売太神社(大和郡山市)の宮司らに取材。他の文献には登場せず、性別までもがベールに包まれている阿礼の謎に迫った。

 父の景行天皇に疎まれ、戦場に送り出され続けたヤマトタケル。足跡をたどりながら、魅力を探った。県立万葉文化館の研究員は、「女装で敵をだませるほどの美少年」と推測する。ヤマトタケルが詠んだ「国思歌」を万葉集の歌と勘違し、同館に問い合わせてくる人もいるそうだ。

 今年2月には、治水工事などの善政で「聖帝」とたたえられた仁徳天皇の足跡をたどった。日本最古の堤防「茨田堤(まんだのつつみ)」開発などの功績を紹介。また、この時代から古事記に渡来人の記述が増えている点を指摘し、仁徳天皇に「国際性を持つリーダー」の側面があったことを浮き彫りにした。

 今年3月までデスクを務めていた北岡和之記者は「節目の年に、読者に奈良の歴史について見直してもらい、より愛着を持ってもらいたい」と話す。現在は、松井重宏編集部課長がデスクを、高瀬法義、増山和樹の両記者が執筆を担当する。次回は、雄略天皇と同一人物といわれるワカタケル大王に焦点を当てる。県が取り組むPR事業「記紀・万葉プロジェクト」にあわせ、日本書紀をテーマにした連載にも取り組む考えだ。(福)

ページの先頭へ