5月14日付 復活への解決策を探る

琉球「長寿崩壊 沖縄社会の課題」

 「終電がないから、夜中まで飲める」―。那覇市の男性(58)はかつて、飲み会がある夜は車を置きにいったん帰宅、夕食後に居酒屋へ繰り出す1日4食の生活を続けた。慢性腎臓病を患い、8年前から週3回、人工透析を受ける。

 厚生労働省が2月に発表した2010年「都道府県別生命表」で沖縄県女性の平均寿命は1975年の統計以来、初めて首位から転落した。崩れつつある沖縄の長寿。全24回の連載で要因に迫り、長寿復活への解決策を探った。

 沖縄は脳梗塞や心疾患など生活習慣病による死亡率が全国に比べ高い。専門医は、米統治下で全国に先駆けて広がった高脂肪の欧米食や車・夜型社会といった特有の事情を指摘する。重症化して初めて医療機関を受診する傾向には、高い失業率も関わっている。

 医療や行政も手をこまねいてはいない。全国健康保険協会(協会けんぽ)はショッピングセンターで「まちかど健診」を実施。那覇市は昨年度から、来庁者にその場で受診してもらう「ついで健診」を始めた。南城市は生活習慣病の発症リスクが高い人に保健師が食生活などを指導する「特定保健指導」を導入した。同市の佐敷小学校は毎月1回、「野菜の日」を設ける。通常の倍の量の県産野菜を使い、塩分を抑えた給食を出す。レシピを記したランチョンマットを児童に配り、活動の家庭での広がりも狙う。全県を挙げて健康増進に取り組む長野県の実態も紹介した。

 「長寿ブランドの崩壊は、沖縄全体の活力を奪いかねない」と話す高江洲洋子社会部厚生担当記者を中心に、記者4人が担当した。長野の取材では地域の力を生かした地道な活動を見た。「沖縄もコミュニティーの力が強い。長野の取り組みに学ぶところは多い」(高江洲記者)。再び長寿1位となる日は来るのか。(夏)

ページの先頭へ