5月21日付 地元の財産を見つめ直す

信濃毎日「今なお一茶これにあり 生誕250年」

 去る5日は俳人・小林一茶生誕250年の記念日だった。一茶は現在の長野県信濃町出身。生涯の大半を旅に生きたが、晩年は故郷に戻った。こうした縁にもかかわらず、一茶への地元の関心はそれほど高くない。報道部の小出真人記者が4月30日から5回にわたる連載で、各地で始まった一茶を地域おこしに生かす取り組みを追った。

 県内には一茶の句碑が多数点在し、観光資源になっている。小布施町は、町観光協会が句碑巡りツアーを実施し住民がガイドを務めるなど、地域づくりに生かしている。晩年に長期滞在した長野市や山ノ内町、高山村の商家や旅館は、250年後の今、人々が気軽に楽しめる資料館を開いている。

 全国を旅した一茶ゆかりの地は県外にも多い。一茶が訪れたという炎天寺(東京都足立区)は、毎年11月に小中学生俳句大会を開く。昨年は約12万人から応募があった。

 近年、一茶に関わる新資料の発見が相次いでいる。昨年12月には他人の俳句を採点した「点帖」が長野市の民家で発見され、信濃町に寄贈されることに。同市長沼地区の公民館長は、250年を機に注目が集まっていることも発見の一因とみる。

 一方、故郷の信濃町では活動の中心人物が高齢で亡くなり、活気がなくなったという声も。一茶は親族との確執で門人が少なく、顕彰活動も町外の名声に押されて進んだ面がある。そうした経緯をたどりながらも、町は今年、一茶にちなんだ夏祭りを初めて開く。一茶を見直すいい機会となりそうだ。

 信濃毎日は今年1月から、朝刊1面で毎日一茶の句を一句ずつ紹介しており、反響は大きいという。連載デスクの三村卓也報道部次長は、「広い視点で各地の盛り上がりを伝えることで、地元の財産を見つめ直してほしかった」と話している。(さ)

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