7月23日付 危機管理対応に疑問

神戸「ひょうご学校事故・事件の現場から〈閉ざされた未来〉」

 学校が絡む事故や事件が絶えない。「何で倒れたのか。それが知りたいだけなんです」。家族は必死に真相を知ろうとするが、多くの場合、学校や教育委員会の隠蔽(いんぺい)体質が、それを妨げる。社会部の紺野大樹記者が現場を訪ね歩き、事故・事件をめぐる学校や教委の対応の在り方を問うた。6月12日から5回にわたって連載された。

 第1回では、2007年に兵庫県立龍野高校でテニス部の練習中に倒れ、重度の障害が残った女性と家族を取材した。当時、詳しい調査を求めた両親に対し、学校側の対応は冷たかった。地域では、家族は学校を責める「加害者」視され、お金を得ようとしているなどと、心無いうわさが広まった。

 事故から3年、家族は「学校側が安全配慮義務を怠った」と県を提訴した。昨年12月の公判で当時の校長は、学校に責任はないと述べた上で、「謝罪すれば、学校に原因があったんだろうということで金銭的な要求につながる。道義的責任で謝罪しても法的責任にすり替えられる」と語った。学校側の"危機管理"が垣間見えた。

 昨年9月、川西市の自宅で県立高校生が自殺した事件で、県教委は背景などを調べる第三者委員会を設置した。連載では、同様に第三者委が設けられた滋賀や愛知での事件と比較し、第三者委の立ち位置を問い直し、遺族との溝にも切り込んだ。連載を担当した田中伸明デスクは、事実の正確な認定が不可欠だとした上で「調査結果に至るプロセスが、世間的に納得できる仕組みになっていない」と第三者委の在り方に疑問を呈す。

 「学校や教委は本来、子供を守らなければならない現場だ。しかし、許容範囲を越えると自らを守る方に走ってしまう。何がそうさせるのか」と語る紺野記者。取材を通じて新たな疑問を抱いたという。(福)

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