7月30日付 頑張り続ける被災者描く

大分合同「道半ば 大分県豪雨から1年」

 「これまでに経験したことのないような大雨」(気象庁)だった昨年7月の九州北部豪雨。大分県内の死者・行方不明者は4人、住宅の全半壊や浸水の被害もあった。「復興は、光が見えるところもあるが、進んでない部分もある。頑張り続けている被災者の表情や現場の様子を描きたかった」(安東公綱報道部長)。発生から1年を機に7回連載した。

 史跡・青の洞門で知られる中津市本耶馬渓町は、度重なる水害に見舞われてきた。同地で窯元を営む男性は「失ったものは大きいけれど、この場所は嫌いになれない」と話す。生命線とも言える窯は水に漬かったが、この地を守る「使命感のようなもの」を感じつつ歯を食いしばる。

 同町の浸水は、市指定有形文化財の石橋「馬渓橋」に流木が引っかかり、ダム化したことにより被害が拡大した。住民は被災後すぐに、橋の架け替えを市に求めた。生活を支えてきた愛着ある橋の取り壊しをあえて求める"覚悟"を訴え、行政に対策を促す。一方で石造りアーチ橋の歴史的価値や観光資源としての評価は高い。改修工事で防災対策を講じるよう求める声も根強く、橋を所有する市は難しい決断を迫られている。

 被災者は今も、取材記者に大雨への恐怖を打ち明ける。長引く避難生活への不安も募る。連載を統括した報道部の中野暁男記者は当時、竹田支局長として取材に当たった。「心の傷はまだ癒えていない。復興は単なる原状復帰でなく、今後の街作りにどう役立てていくかが重要だ。被害現場を取材した記者として道程を見極めたい」

 甚大な被害が発生した7月3、12、14日には、連載と連動して、今を生きる被災者の姿を伝えた。安東報道部長は「これからも機会を捉えて、防災意識が高まる紙面を作りたい」と話している。(夏)

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