9月10日付 外国人バーは街の鏡

長崎「サセボ物語」

 長崎県佐世保市。戦前は旧海軍の鎮守府が置かれ、戦後は米海軍と海上自衛隊が拠点を構え、基地の街として発展した。第1弾「カウンターの記憶」は、米兵が集う通称「外国人バー街」を通じ、街の横顔を追った。尋木章弘佐世保支社編集部長は「同じ県内にありながら、長崎は平和を希求し、佐世保は自衛隊、米軍が存在して街の趣が違う。佐世保ならではの連載をやりたかった」と話す。

 外国人バーが興隆を極めたのは朝鮮戦争の真っただ中。戦地への出兵に募る不安を酒で紛らす米兵でにぎわい、湯水のように軍票が切られた。老舗店オーナー(84)は50年ほど前に県職員から転身。開業当初に感じたわだかまりもいつしか消え、米兵客と友好を深めた。米海軍は2007年、長年の友情と功績をたたえ、オーナーの名を冠した石碑を基地内の日本庭園に建てた。

 友好の一方、米兵相手の商売は日米関係のはざまで揺れ続けてきた。昨年秋に相次いだ米兵の不祥事を受けた夜間外出・飲酒禁止令は、バー街に暗い影を落とす。売り上げは軒並み半減した。犯罪は許されないが、培った友好関係を元に商売し、生活している人たちがいる―。4店舗を経営する男性は苦境を訴える。禁止令は次第に緩和されたが、現在も一部で措置は続く。これもまた、基地の街の宿命だと、別の店員はため息をついた。

 「外国人バーは、国際情勢に左右される佐世保を映し出す鏡だ」と話すのは佐世保支社の宮本宗幸記者。〝夜の人〝は取材に応じないことも多く、どういった話が出てくるのか分からない中での取材だったと振り返った。

 8月下旬に佐世保地域面に8回連載した。今後は創設60年を迎えた海自佐世保地方隊や、日本最長のアーケードを持つ市中心部の三ケ町・四ケ町商店街などを取り上げる。(夏)

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