9月17日付 水と人とのドラマを描く

北國「ほくりく水紀行」

 石川県には白山、富山県には立山があり、そこから流れる川は豊かな穀倉地帯を育む。反面、治水が行き届かなかった時代は、大雨による氾濫など災厄をもたらす存在でもあった。1月に始めた年間企画では、水をめぐる北陸の人々の営みを紹介している。

 あえて「環境を守ろう」とは言わない。連載を担当する社会部の宮本南吉報道デスクは、「水の透明度などデータから訴えるのではなく人間ドラマを描くことで、結果的にこの豊かな水資源を守っていこうという意識が読者に芽生えてくれれば」と話す。

 読者が記事の内容を身近に感じられるよう臨場感にこだわった。記者がみそぎや滝行などを体験取材する回も。常に新しい視点を提供しようと、経済部の記者がウオータージェット切断機を取材したり、カメラマンに取材・執筆を任せたりしたこともある。写真部の三上聡一記者は「本職の記者をまねても中途半端になる。簡単な言葉で分かりやすく書くことを心掛けたら、目先が変わって面白いと言ってもらえた」と話しており、狙いは当たったようだ。

 初回を担当したのは社会部の本江亜珠佳記者(現文化部)。コーヒーを入れる水にこだわり、山の湧き水を使う「コーヒー博士」を取り上げた。別の取材で知り合い、連載にふさわしいのではないかとデスクに提案したという。

 記者が日々の取材の中から見つけたネタを提案するだけでなく、地域面に載っている小さな記事をヒントにすることもある。「そんなふうに水を見たことがなかった、と言ってもらえるよう、記者もデスクも知恵を絞っている」(宮本氏)

 連載は毎週水曜に掲載、9月までに連載に携わった記者・カメラマンは総勢約30人に上る。信仰、音楽、芸術などさまざまな切り口で、人との関わりを描いていく。(さ)

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