10月15日付 教育現場に寄り添って

佐賀「再考 教え育む」

 ゆとり教育からの転換を図る中で、学校現場は難題を抱えたままだ。学校や家庭が〝教え育む〝をどのように実践しているか、年間企画で迫った。連載開始当時デスクだった小野靖久生活文化部長は「親でも知っているようで知らない教育現場の実情を伝えたかった」と話す。

 「太良高の試み」では発達障害や不登校の経験を持つ生徒を佐賀県内全域から受け入れる県立校の取り組みを追った。同校は机や椅子の脚に移動時の消音用に布カバーをかぶせる。周囲の変化に敏感な生徒に不安を感じさせないようにするためだ。ホームステイの受け入れや支援員の派遣など、地域や大学も加わり支援は広がる。

 今春には県内の男子中学生が同級生から恐喝と暴行を受けるいじめが明らかになったことから、「教室の死角」を連載した。後任の桑原昇報道部デスクは「学校はバッシングされがちだが、問題を教訓にどう学校が取り組んでいるのか、教育現場に寄り添う形で進めたかった」と話す。公教育は批判されることが多く世間の目は厳しいが、実際に取材してみると、学校が何も手を打たなかった訳ではなかった実態が見えてきた。

 取材の主な対象は、さまざまな問題を抱える子供たちだった。「不用意なことを書けば二次被害を生むし、書き表しきれなければ問題が伝わらない。取材方法から記事の表現まで考慮を重ねた」(井上武報道部特報班キャップ)という。

 このほか、公立で九州初の併設型中高一貫校の試行錯誤、非行少年の更正に思い悩む親や学校の姿、児童が教師に代わり授業の進行役を務める「司会式授業」を始めた唐津市の小学校を取り上げた。報道部や支社・支局から記者10人以上が取材に携わる。今後はインターネットや学力をめぐる問題に焦点を当てる。(夏)

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