12月17日付 世界遺産20年で見つめ直す

東奥「白神 恵みの森よ」

 人の影響をほとんど受けていないブナの天然林が世界最大規模で分布している白神山地が12月11日、世界自然遺産登録から20周年を迎えた。11月12日付夕刊から始まった計4回の連載で、白神山地の「恵み」を見つめ直し、その価値を考察した。

 ブナは白神のシンボルであり、森は命を育むゆりかごだ。その特徴は固有種の多さではなく、もともとブナ林が持っていた多様性を維持しているところにある。

 今年1、2月に「白神山地はいま」と題し、どのくらいの観光客が訪れているか、どのように保全すべきかなどの観点から、現状を探る連載を展開した。今回は「白神山地の恵みをどのように活用するか」(大沢日出樹弘前支社編集部長)に主眼を置いた。

 その一つが、「白神」の名を冠した酵母を使った商品開発の研究だ。弘前大農学生命科学部の殿内暁夫准教授が2011年に白神山地の樹木皮や腐葉土から分離、選抜した弘大白神酵母。弘前市の食品製造業カネショウが今年6月、看板商品の「りんご酢」を同酵母を使ってリニューアルし販売した。同市の複数の民間企業と弘前大、青森県産業技術研究センターが9月末に産学官連携の研究会を設立するなど、さらなる開発を目指す動きがみられる。

 ブナ林の魅力を身近に感じられるよう、ブナを街中に植えて緑化木にしようという活動も広がっている。登山家の根深誠さん(66)は、白神山地を貫く青秋林道建設への反対運動をしていた1990年ごろ、ブナの緑化木を思い立ち、活動を始めた。「最終目標は街の公園にブナを植えること。市民が一番身近に親しめるから」という。

 連載を担当した弘前支社編集部の佐藤彩乃記者は「『森』という捉え方だけでなく、ビジネスなどの視点から考えることで価値を見いだしたかった」と話している。(菅)

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