1月21日付 南海トラフ被害どう減らす

産経大阪「新減災学」

 阪神大震災から20年目に入る1月17日を前に、16日から1面で連載が始まった。震災を過去・現在・未来の三つの視点から学び直し、南海トラフ巨大地震で都市が受ける被害をどう減らすかを考える。

 東日本大震災以降、津波対策ばかりが取り上げられているのではないかという問題意識からスタートした企画は、社会部が3回にわたって連載した。デスクを務めた広瀬一雄社会部次長は、「津波の浸水予想が低くても安全ではない。住宅密集地の火災や都市機能維持といった『都市型災害』への備えが疎かになっていないか」と話す。

 大阪府は昨年10月、南海トラフ巨大地震による府内の犠牲者数を、国の想定の10倍以上となる約13万4千人と予想した。大阪を襲った安政南海地震(1854年)発生当時、大阪の地盤は現在より2~3メートル高かったという。地下水のくみ上げによる地盤沈下や埋め立てで、現在は当時と比べ海抜ゼロメートル地帯は拡大。人口も10倍以上に膨らんでいる。歴史を知ることで、現在の弱点が見えてくる。

 被災後の地域作りを見据えた活動の重要性も訴えた。国の被害想定で最高の津波高34.4メートルが示された高知県黒潮町は、町長が全町職員200人を防災担当とし、住民と500回以上も会合を開き対策に取り組んでいる。ただ、住民が町を捨てずに防災に取り組んでも、少子高齢化による過疎の進行が止まるわけではない。そこで、町は新産業を起こし、雇用も作り出そうと動いている。

 京都府と企業が連携して取り組む緊急時の事業継続計画も取り上げた。広瀬氏は「黒潮町の対策もきちんと取材しないとただの町おこしだ。新しいが、地味でポイントが分かりにくい話を丁寧に取材して意義付けし、読者に分かりやすく伝えていきたい」と話している。(さ)

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