3月18日付 社会のありようを検証

山陰中央「自由の風景」

 松江市で2013年に表面化した漫画「はだしのゲン」の閲覧制限問題。問題を端緒に今あらためて「自由」について考える連載が、1月3日に始まった。

 昨年8月、市教育委員会事務局が教委に諮らないまま、市立小中学校にゲンの閲覧制限を要請していたことが明らかとなった。当時、デスクを務めていた森田一平出雲総局報道部長は、直後の報道について「問題の論点を十分に整理できていなかった」と振り返る。第1部では、あらためて問題の経緯をたどった。オープンに議論することなく独断で閲覧制限を要請した市教委事務局、追従した学校現場、形骸化があらわになった教育委員の状況などを伝えた。知る自由を保障する存在であるべき図書館の閲覧制限は、知ることや表現の自由が守られているように見える現代社会にあって、自由のよって立つ基盤のもろさを浮き彫りにしたと連載は説く。

 第2部は、市民の安全・安心を求める声を受けて増える防犯カメラの設置や、交通妨害や他団体との衝突を避けるための警察によるデモの調整などを例に、権利と規制の関係について考えた。自由が侵害されているとの想定で臨んだが、現場取材で浮かび上がったのは、対立する市民の権利を行政などの規制側が調整しているという構図だった。観光や産業振興の点から景観形成区域の指定を目指す松江市の姿勢に賛成する住民と、防火や防災への対応を求めて反対する住民との権利がぶつかり合う状況も取り上げた。

 「社会のありようを検証したかった」と話すのは、取材に当たった尾添大介記者。一人一人が責任と自覚を持って、行政などの問題に関心を持ち、オープンに議論できる環境を作ることが重要だと訴える。連載は今後、自由を確立して守っていくために、どう行動すればいいのかを提示していく。(福)

ページの先頭へ