7月22日付 被害者遺族の思いたどる

長崎「悲しみの轍 小6女児同級生殺害事件から10年」 

 長崎県佐世保市で起きた小6女児同級生殺害事件から6月1日で10年を迎えた。長崎新聞社は5月23日から9回の連載で、愛する家族を奪われた遺族の悲しみの歳月と関係者たちの思いをたどった。

 犠牲者の御手洗怜美さんは、当時11歳だった同級生の女児に給食時間中、カッターナイフで首を切りつけられて殺害された。連載は、これまで同紙で紹介してこなかった怜美さんの兄タカシさん(25)=仮名=の回想や事件以降の生き方を軸に展開した。

 尋木章弘佐世保支社編集部長は「10年の節目に初めて、タカシさんが心の内を明かしてくれる機会を得た。被害者の遺族に寄り添った形で、事件の奥深さを描きたかった」と話す。タカシさんは事件翌年の2005年、毎日新聞記者だった父の御手洗恭二さんの異動に伴い、福岡市内の高校に進学した。間もなく、それまで受験勉強に費やしていた時間がポッカリと空き、妹を救えなかった後悔など、事件のことが頭の中を支配するようになっていった。

 「タカシさんの証言を縦糸に、更正・贖罪(しょくざい)を横糸に据えた」(内野大司佐世保支社記者)というように、加害女児の少年審判やその後についても考察した。結局、女児に真の反省の気持ちが芽生えたのか分からぬまま、2004年9月、審判は終わり、彼女は栃木県にある国立児童自立支援施設に送られた。

 タカシさんは体験を通じて、事件に巻き込まれた子供の兄弟姉妹に対するケアの在り方に疑問を抱いた。遺族をサポートする相談員になるための養成講座を受け、犯罪被害に遭った子供の兄弟姉妹が相談し合えるネットワークをつくる構想を温めている。

 「遺族としての苦しみが強く伝わってきた」という内野記者。心情を察して取材することを心掛けたと振り返った。(菅)

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