8月 5日付 影響を功罪両面から

愛媛「えひめ平成の大合併10年」 

 平成の大合併から10年。愛媛県は70市町村が20市町に再編され、合併に加わらなかったのは2町のみだった。1月からの年間連載で広域合併の影響について取材を進めると、正規職員から非正規・民間に業務が移っている実態や、役場機能の集約で辺境部の活力が低下している問題が浮かび上がってきた。

 県内支社局や社会部市町担当記者ら約30人が取材に携わった。特に難航したのは、合併前後の職員数を比較するためのデータの把握だった。行政組織の改編などで既に入手困難な情報も多かったが、役場に通い詰め、全自治体からアンケートを集めた。

 4町村が合併し上島町となった旧魚島村は、旧村独自の施策が減少、人々は合併について言葉少なだ。高知県境の久万高原町美川支所は、旧美川村時代に62人いた職員が4人に減った。人口減は仕事量の減少に直結せず、人手不足は深刻だ。

 連載は一方で、合併の恩恵にも焦点を当てる。デスクを務める仙波朋子社会部副部長は「合併の住民への影響には、影だけでなく光の部分もある。支社局員には地域住民の一人として、功罪両面を連載の柱に挙げてもらった」と話す。

 5町が合併した西予市は、海抜0~1400メートルの間に、日本ジオパーク認定を受けたリアス式海岸やカルスト台地など多彩な自然がそろったことで、効果的なPRが可能になった。県内最多の12市町村が合併した今治市は広域合併のスケールメリットを生かし、島しょ部の水不足解消のために瀬戸内しまなみ海道沿いに送水管の設置を進める。しかし、内陸部の水道料値上げは島しょ部優遇だとの不満もくすぶる。

 集めたデータは連載だけでなく、10年間の変化を示す大型関連特集でも紹介している。今後は財政面の効果などを検証する。(夏)

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