9月 2日付 戦争の伝え方を検証

京都「揺らぐ平和と記憶」 

 来年の戦後70年を前に、8月8日付朝刊から6回にわたり展開した「戦後X年目の語り方」で、大学などによる平和への希求を語り継いできた歩みを振り返った。京都府京丹後市経ケ岬の航空自衛隊分屯基地の一部と、隣接する民有地に、年内にも弾道ミサイルを探知するXバンドレーダーを配備する米軍基地が建設される。岡本晃明報道部長代理は「現状と過去70年間をつなぎ、戦争の伝え方を検証していきたいと考えた」と話す。

 その一つに、兵士の戦場体験をどう伝えるかということがある。戦後36年の1981年に始まり、毎夏、立命館大で開かれている「平和のための京都の戦争展」は、戦災だけではなく「侵略と加害」もテーマに掲げてきた。第7回の同展では、南京での戦闘に参加した府内在住の元兵士3人の日記を公開。地元住民を狩り集め、負傷者を担架で運ばせたなどと記されていた。元兵士の1人は日記公表を非難され、自宅には街宣車が押し掛け、発煙筒も投げ入れられたという。

 今回の記事では、元兵士を実名にはしなかった。遺族から匿名にしてほしいとはっきり言われたわけではない。しかし、取材班で議論した結果、イデオロギーの争いに巻き込んでしまう懸念があったことから、「元兵士」と記した。山下悟報道部記者は、「読者がどう受け止めたか心配だった」と話す。実際、読者から表面的ではないかといった声が寄せられた。「もっと踏み込んで書くべきだったかもしれない」と複雑な思いをにじませる。

 「戦後X年目……」に続き、各地の在日米軍基地のある街を歩いて課題を探る「米軍Xバンドの基地から」を、8月25日付朝刊から5回にわたり掲載した。2006年に世界で始めてXバンドレーダーが配備された米軍車力通信所を抱える青森県つがる市の状況などを伝えた。(菅)

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