10月 7日付 具体的な工夫を伝える

紀伊民報「商店街に風が吹く」 

 和歌山県で第2の人口規模を誇る田辺市。中心市街地には10の商店街があるが、個人商店を取り巻く環境は厳しく、空き店舗が目立つ。そうした中、工夫を凝らしてにぎわいを生み出している店もある。地域活性化につながっている商店の取り組みを、4月から8月にかけて、全3部18回の連載で取り上げた。

 2009年から始まった田辺市中心市街地活性化基本計画。商業機能の再構築を目的に、5年間で幹線道路の整備、駅前広場の改修などに約100億円が投入された。計画終了を機に、事業を検証しようというのが企画の発端だった。しかし、「街づくりの成果はすぐに表れないため時期尚早で、読者からの共感を得られない」(中井智一報道部記者)と捉え直したことから、地域で奮闘する商店にテーマを切り替えた。

 第1部は名物店員がマフラーの編み方を丁寧に説明する手芸用品店、宣伝にブログやメールマガジンを活用する老舗の陶器店など、知恵や工夫で買い物客を呼び込む商店を紹介した。

 第2部では、商店街の飲食店が主催する食べ歩き飲み歩きイベント「南紀田辺うめぇバル」や、店主が専門知識や技術を伝える「まちゼミ」など商店が連携して実践するイベントを取り上げた。中井記者は「具体的にどのような工夫をしているかを伝えることで、他の地域のヒントになれば」と話す。

 第3部は、大型店舗の出店や高齢化といった問題に向き合う個人商店に焦点を当てた。親切なアフターサービスで家電量販店に対抗する電気店、増加する一人暮らしの高齢者向けに総菜を売る産直店―。「客層やニーズを把握し、地域の中で自店の役割を理解すること」(中井記者)が、取材を通じて感じた元気な店の共通点だ。商店街の取材中に市民から直接、連載に対する好意的な声を寄せられることも多かったという。(新)

ページの先頭へ