12月 9日付 安全と経済振興、両面から

県民福井「選択の時 老いの原発の行方」 

 廃炉か運転延長か―。老朽原発をめぐって、電力会社は難問に直面する。存廃の判断が必要な「老いの世代」の原発は国内に7基、そのうち5基は福井県内にある。電力業界や地元自治体の思惑と廃炉に向けたさまざまな課題を、11月12日から5日間連続で取り上げた。

 福島第一原発事故を受け、原発の稼働期間は原則40年となり、運転を延長するためには規制基準に適合する必要がある。40年前後となる7基の原発を持つ電力会社は年内に判断するとの見方が強い。連載終了後の11月26日には、関西電力が高浜1、2号基の運転延長を目指すと表明した。栃尾敏取締役編集担当は狙いを「メディアをにぎわすことが多いのは原発の再稼働だ。しかし老朽化は再稼働した原発がいずれ向き合うことになる、より本質的な問題だと考えた」と話す。

 栃尾氏は「原発は地域振興に役立ってきた側面もあり、地域とのつながりも肌で感じる。将来の脱原発は大前提だと思うが、一面的な批判にはしなかった」とも言う。安全性や経済性を考えると旧型の原発は廃炉を選択せざるを得ない状況にあるが、解体の過程で出る放射性廃棄物の処分という課題に直面する。廃炉をめぐるさまざまな問題を取り上げることで脱原発への道が甘くないことも伝えた。

 地元自治体の思惑も絡む。廃炉になれば、雇用など地域産業への打撃となり、立地自治体を潤してきた補助金もなくなる。廃炉とセットに新しい原発の建て替えを求める声もある。県が今年8月にまとめた報告書は、安全性を高めた新型炉への転換が必要と指摘した。

 報道部の桂知之記者は「県の表向きの説明は安全面の問題。表と裏の関係にある経済振興のためという思惑も浮き彫りにすることを強く意識した」と話した。(新)

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