2月10日付 国際土壌年 米中の農地は

日本農業「土が危ない 悩める食料大国」 

 今年は国連が定めた「国際土壌年」に当たる。都市で暮らす人は、食料生産の根幹をなす土に対する意識が薄いのではないかとの懸念が連載の出発点となった。工業化による経済発展の背後で汚染された中国の農地、高い収量を実現しつつも土壌の劣化が懸念される米国の農地を、2人の記者がそれぞれ歩き、状況を伝えた。元日から4回にわたり展開した。

 農政経済部の金哲洙記者は、中国・黒竜江省で、ポリ塩化ビニールを生産する国営企業が排出する炭化物や汚水の影響で使えなくなった農地を訪れた。

 中央政府が対策を講じようとしても、経済を優先する地方に行き届かず、現場の農家が苦しむ現状がある。中国の大手メディアによって報道もされているが、解決には至っておらず、継続的に伝えていく必要があると金氏は話す。「中国では農家が弱い立場に置かれている。彼らの声を取り上げたかった。埋もれている事実をすくい上げ、知らせるべきことを知らせたい」。土壌の問題になじみのない人にも興味を持ってもらえるよう、農地を覆う炭化物や、黄河の氾濫でえぐられた農地など、写真で読者の目を引くような題材を選んだ。

 繰り返し同じ作物を栽培する手法で成功を収めた米国では、土壌に対して楽観的な見方が多い。一方、有機物不足による土壌劣化が問題視されている。

 インディアナ州の農地を訪ねた山田優編集委員は、農作物を栽培していない時期に、雨風による土壌の流出を防ぐために育てるライ麦などの「カバークロップ」を活用する農家を紹介。問題提起だけでなく改善策を示すことを強く意識したという。「読者である農家に、土に対する問題意識や使命感を持ってほしい。彼らの間で議論が広がるきっかけにしたい」と山田氏は強調した。(斎)

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