3月10日付 答えのない問題、選挙争点に

西日本「人口減少社会を考える」 

 昨年の福岡、熊本両市長選を皮切りに、九州では選挙が続いている。こうした中、民間の政策提言機関「日本創成会議」が昨年発表した「消滅可能性都市」は大きな衝撃を与えた。九州で該当する自治体は125市区町村。今春に統一地方選を控える中、連載を指揮する三宅大介報道センターデスクは「人口減少は避けて通れない政策論争のテーマだ」と指摘する。地域住民がどう人口減少に向き合っているか、現場から現実と課題を追った。

 昨年11月に第1部「成長都市の実像~福岡市から」を展開。各地から若者を吸い上げ、九州の総人口の1割が集中する"一人勝ち"の福岡市。消滅にはほど遠い印象を受けるが、孤立する高齢者、就職の受け皿となる企業の不足などの問題も抱える。都市への一極集中が過熱すれば地方は衰退する。初回で過疎地ではなく、あえて福岡の現状を描いたのは、人口減少の因果関係を福岡で暮らす人々により強く意識してもらおうと考えたからだ。

 今年2月の第2部「『消滅』の衝撃~九州から」では、記者が鹿児島県内で高齢化率が最も高い南大隅町の折山集落、九州最後の炭鉱地として観光振興を探る人口約200人の長崎県池島などを訪ねた。「消滅の可能性」に対する反応はさまざまだ。南大隅町のある高齢者は「いつかはなくなる。もう目に見えとる」と達観する。宮崎県五ケ瀬町では、地域の核となる学校を統廃合から救うため、合同授業などを強化する動きがある。本来は統廃合の対象となる小規模校でも、合同授業の定期化で多様な意見を児童に触れさせるためだ。

 三宅氏は「答えを持って描けない。人口が減少する中で、身の丈に合った地域おこしの方法もあるだろう。新たな価値観を自問しながら連載している」と話す。今後の第3部では、地方自治が縮小した場合に生じる影響を取り上げる。(夏)

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