3月24日付 同世代の非正規雇用者描く

山梨日日「『仕事』現実と望み―県内若者の場合」 

 若者の雇用は不安定な状況が続く。20代後半から30代前半の非正規雇用者の割合はこの20年間で2倍以上となった。そして、正規・非正規の賃金格差は年齢を経るごとに拡大する。正規雇用の網からこぼれ落ちてしまった若者は、仕事にどのような思いを抱き、将来にどのような希望を持つのか。解決の糸口を、識者はどう考えるのか―。2月17日から4日間の連載でリポートした。

 担当した文化・くらし報道部の戸松優記者は大学院を出て記者2年目の26歳。リーマンショック以降の就職の冷え込みを体験している。正社員として就職せず「内定率」の数字に含まれなかった同世代の若者の生き方に関心があった。さらに、若者の内面を知らない年長の世代に、仕事を得て社会に居場所をつくることにつまずいた若者の思いを知ってほしいと考えて企画した。

 ハローワークなど支援施設での若者向け就職対策講座などの取材や、友人のつてを通じ取材対象者を見つけた。自らは記者の仕事を得ているという立場にいながら、内面に踏み込んでいく取材だった。戸松記者は「反感を買うんじゃないか、失礼じゃないかという不安もあった」と話す。しかし、社会に出る難しさを自らも感じたことから生まれた問題意識をぶつけ、表現も含めて何度も話をし、信頼を得て記事化した。

 ブラック企業で働いても、それが普通だと感じる。友人との会話は「いい仕事ない?」から始まる―。そうした日常が当たり前になっている。「自分も転職続きだが、リアルに描いてくれた」など、若者から多くの反響をもらった。「同世代から反響が寄せられることが少ないので、新鮮だった」。取材を終えて、同じ社会に生きている同世代が、「分断されている」と痛感したという。(洋)

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