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4月 7日付 ヒト、モノ、カネの流れつかむ

山陰中央「完成する大動脈 尾道松江線の効果と課題」 

 松江市と広島県備後地方の尾道市を結ぶ中国横断自動車道尾道松江線(中国やまなみ街道、全長137キロ)が3月22日、全線開通した。愛媛県から尾道までの「しまなみ海道」と合わせ、山陰から四国までをつなぐ「大動脈」が完成。ヒト、モノ、カネの流れが今後どう変わっていくのか、開通前の10日から5日間連載した。

 これまでも、広島市と島根県西部、岡山市と鳥取県米子市をつなぐ高速道路網はあったが、尾道松江線の開通で島根・鳥取両県にまたがる宍道湖・中海圏域が山陽地方とつながった。壷倉真司編集局次長は「人口減や少子高齢化が進み市場が縮小する中で、交流人口の拡大は経済成長に大きく寄与する。新たな縦軸を生かした有効な事例を提示することで、地元の経済活性化につなげたいと考えた」と連載の狙いを話す。

 松江市―広島県三次市間は2013年に開通、高速道路網は広島市と直結していた。同年の出雲大社の遷宮もあり、広島県からの観光客は増加。今後は四国からの観光客に期待を寄せる。

 小売業者や製造業者には山陽エリアでの販路拡大を目指す動きもあり、ビジネスでの連携が深まるケースも出ている。高速道路開通を機に、松江市の精密機器加工会社は切削技術が評価され、広島県の機械製造会社との取引が始まった。政経部の錦織拓郎記者は「備後地区でも松江の鉄鋼技術が評価された。それを伝えることで他の成功事例が出てくるきっかけにしたい」と話す。

 一方、人材や企業、買い物客の都市部への流出、インターチェンジのない町の「素通り」といった課題が既に顕在化している。錦織記者は「成功例は少なく、心理的な距離はまだ遠い印象だ。今後どう変わっていくか、定点的に観測し、伝えていく必要がある」と語った。(新)

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