4月28日付 死者と向き合う、揺れる思い

上毛「現代弔い考―さよならのカタチ」 

 少子高齢化の進行や大都市への人口集中、個人主義の広がりなど社会が変わるなかで、弔いの在り方も変化している。生者が死者にどう向き合うかを探ることで、現代人の生をも描く。

 14~24日の第1章は、古里にある先祖代々の墓を撤去し、遺骨を永代供養の合葬墓などに改葬する「墓じまい」をテーマにした。「子どもがいない」「いても遠くの大都市で暮らしている」など、墓を維持しにくい状況が増えている。

 墓じまいをした人の決断に始まり、無縁墓に悩む寺院の声、古里を離れ都内で働く長男の本音などを紹介。さらに、墓石でなく樹木の下に埋葬する「樹木葬」や、墓参り代行業、二つの家が入る「両家墓」、墓石を処分する産廃業など、墓にまつわる流行や仕事をめぐり、利用者や関係者の声を拾い上げる。

 連載を統括する小渕紀久男報道部長は「若いうちはあまり考えないが、誰もが直面する問題だ。特に関心が強い60代以上の読者が多いことも意識した」と話す。弔いをめぐる意識は社会調査などでは見かけるが、新聞社ならではの取材で集めた、市井の人々の率直な声を伝えていく。

 報道部の関口健太郎記者を中心に、第1章は文化生活部・毒島正幸記者、わたらせ支局・山田祐二記者も担当。37歳の関口記者は、今まで自らこのテーマを掘り下げたことはなく「弔いは、残された人が自らのために行うものだと思っていた」。

 しかし、お布施がなくても真摯(しんし)に弔おうとする宗教者への取材などを進めるうちに、「故人に喜んでもらおうとする純粋な気持ちが、弔いを成り立たせるのでは」と考えが深まったという。多様な考え方を紹介するため、「弔いに悩んでいる人の思いを伝えたい」と話す。

 連載は5章50回にわたり展開する予定だ。今後、葬儀の在り方、無縁社会といった問題を取り上げていく。(洋)

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