5月19日付 学力向上の陰に隠れた声

沖タイ「子どものいま 学テ対策編」 

 小学6年生と中学3年生を対象に毎年行われている全国学力テストで昨年、沖縄県の小学校は最下位から24位に躍進した。県教育庁が掲げた「最下位脱出」に向け、テスト対策に力を入れた成果だ。その一方、現場の教師や保護者からは過度の勉強で子どもが疲弊しているとの声も上がる。4月から全7回の連載で、順位を上げる取り組みが子どものためといえるのかどうかを問い掛けた。

 石川達也編集局次長は「学力テストを否定する意図はない。学力向上の陰に隠れた声を拾い上げ、多くの可能性を持った子どもたちが置かれている現状を大人が考えるきっかけにしたかった」と、狙いを説明する。

 運動会や学習発表会の練習時間を過去問対策に充てる学校で、児童から「もう限界だ」と不満の声が上がっていることを伝えた。ストレスがたまった児童同士のトラブルも多いという。現状を危惧する教師らの思いを取り上げた。特別報道チームの田嶋正雄記者は「教師らは、点数偏重の県のやり方に疑問を抱きつつも、声を上げられずにいる。大人が何も言わないために、消耗した子どもたちがそのままにされている」と話す。

 一方、児童のプライバシーを守るため、匿名でも取り上げられなかった事例がある。特別支援学級に通いながら、一部の授業では普通学級に参加する児童の問題だ。田嶋記者は「学力テストの点数を指標にした学級作りが進むと、立場の弱い児童が普通学級に参加しにくい状況を生みかねないことを問題提起したかった」と悔やむ。

 「学力向上を阻害するな」といった批判を含め反響は大きかった。県教育庁幹部の訪問を受け、「記事に出てくる意見は大勢ではないのでは」と苦情を伝えられた。石川氏は「学校の現状に疑問が生まれている事実は見過ごせない。現場の声をしっかり報じたかった」と強調する。(斎)

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