5月26日付 被災者の悲しみと向き合う

河北「挽歌の宛先 祈りと震災」 

 多くの人の命を奪った東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から4年が経過した。大切な人を失い、悲しみを抱えた人たちは今なお祈り、死者の魂と向き合い、共に生きている。そうした姿を今年1月22日から伝えている。

 「高台移転やかさ上げなど、モノの復興は少しずつだが進んでいる。一方、大切な人の命を奪われた被災者の悲しみは時間がたったからといって癒やされるわけではない」と話すのはデスクを務める松田博英報道部副部長。大切な存在を失った人が、死者の姿を意識しながら日々の生活を送る姿を伝えた1部「魂はどこに」から連載が始まる。

 生死に向き合う宗教者もまた、惨禍の前で無力感にとらわれた。2部の「宗教者の試練」はその苦悩を追った。檀家や自らの家族など多くの死に接し、苦しみ、信心の揺らぎを抱えながらも、生きている人と向き合う。報道部の沼田雅佳記者は「人々の心のよりどころとなった宗教の役割を強く意識した」と話す。

 3部「『再会』のかたち」は、会いたいという思いを募らせ、亡くなった人と夢で再会したというエピソードや、死者がそこに存在しているとしか思えない不思議な現象を伝えた。4部「民の信仰」、6部「それぞれの死生観」では、イタコや無常観といった、生と死が密接に関係する東北地方の信仰を掘り下げて取材した。

 報道部の沼田、村上俊、柏葉竜、鈴木拓也の4記者が担当する。沼田記者は「質問を重ねるのではなく、出てくる言葉を待つ。その中で出てきた言葉に向き合った」と取材の様子を語る。同じような経験をした人たちから共感や、「悲しいことは素直に悲しんでも良いということが伝わり、楽になった」といった反響が多く寄せられている。そうした読者の声が記者の支えになっているという。(新)

ページの先頭へ