6月 2日付 胸を張って生きるために

静岡「私はここに 性的マイノリティーの今」 

 今年3月、東京都渋谷区が同性カップルを結婚に相当する関係と認める条例を制定した。性的マイノリティーへの社会の認知は広がりつつある。しかしまだ公言する当事者が少ない中で、静岡県内の当事者の現状を伝えた。

 大須賀伸江記者は、子育て世代を中心とした女性読者に役立つ情報を発信するプロジェクト「こちら女性編集室(こち女)」の一員。自身も育児のため時短制度を利用しながら取材を続ける。「自分の性を意識して、それを踏まえた生き方を模索する性的マイノリティーは、こち女のテーマと重なる部分があった。社会に対して違和感を感じながらも懸命に生きる姿を伝えたかった」

 連載は5月18日から5日間、夕刊1面に掲載され、当事者たちのさまざまな姿を伝えた。取材に応じたゲイのカップルの一方は、家族に同性愛者であると打ち明け始めた。しかし、パートナーは将来なりたい職業では同性愛者が受け入れられないと考えており、公言するつもりはないという。性同一性障害を公表したところ職場でセクシュアルハラスメントを受けたり、学校で教師の心無い言葉に傷付いたりする例もある。当事者たちが社会に胸を張って自身の本来の姿を示せない現状が浮かび上がる。それでもマイノリティーとされる側の思いを広く知ってほしいと取材に積極的に応じる人が多かったという。

 紙面に登場する当事者の中には、家族などへの配慮から仮名を使う人もいた。一方で特別扱いを嫌がる人もおり、「匿名を希望するかと聞くこと自体が当事者を傷付けてしまうこともある」と大須賀記者は話す。

 これまであまり報道してこなかった性的マイノリティーを描いた連載には大きな反響があった。彼らの姿に、病気を隠しながら生活する自身の姿を重ね合わせた人からの便りも寄せられた。(梛)

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