7月21日付 水質改善された今の課題

京都「琵琶湖 遠くから近くから」

 滋賀県の約6分の1の面積を占め、地域の文化や景観に影響を与え続けてきた琵琶湖。経済成長による水質汚濁が、下水処理技術の進歩や環境保護運動の高まりで改善したと言われる。そうした中、琵琶湖の現状に焦点を当てた連載を、今年1月から滋賀本社の取材班が展開している。

 滋賀県に限らず、近畿圏を支える水資源である琵琶湖だが、「人々の関心が遠のいているのではないか」(日比野敏陽・滋賀本社編集部記者)と懸念を抱いたのが連載の出発点だ。固有種の減少と向き合う漁師、生態系の豊かさを求めて環境保護に取り組む人々、生き物の産卵とふ化の様子などを取り上げ、水質改善の一方で、生態系の変化など新たな課題が生じていることを伝えた。日比野記者は「琵琶湖の水を利用する京都の読者に、複雑な現状を知ってほしい」と話す。

 広大な琵琶湖で起きる問題の背景にはさまざまな要因が絡み合う。アユの漁獲量の減少にしても、プランクトンの数や水温の変化、アユを餌にするカワウの増加など、複数の原因が挙げられる。現象を一刀両断できないジレンマの中、取材記者たちは「今、何が起きているのか」に重点を置く。2012年から琵琶湖を取材し、現在も取材班の一員である吉岡宏・高島支局長は、漁師や県の職員、研究者などさまざまな立場の人々に話を聞くことで、答えを一つに決め付けないことを心掛けてきた。「複雑さの中で琵琶湖の今を読者に考えてほしい」という。

 自身も滋賀県出身の川辺晋矢・滋賀本社編集部記者は、琵琶湖が人々の生活と結び付いてきたことを実感したと話す。後継者不足に悩みながらも競りを引き継ごうとする漁師たちの危機感を紹介した。今後も「琵琶湖を後世に受け継ごうとしている人を取り上げていきたい」と語った。(斎)

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