8月11日付 安心して死を迎えたい

岐阜「命みつめて ぎふ・多死社会を考える」

 高齢化の先には多死社会が訪れる。約25年後には、団塊の世代の死亡数がピークになるとされる。人々は安心して死を迎えることができるのか―。3月に計5回、7月からこれまで5回、生と死を見つめる連載を展開している。

 現在、全国で8割の人が病院で最期を迎えている。しかし、国は死者数が増加し医療の提供が追いつかなくなることから、在宅や介護施設でのみとりを増やしていく方針だ。連載を担当する生活文化部の小森孝美記者は「国民の多くも自宅で最期を迎えることを望んでいる。しかし、まだ受け入れの準備が進んでいるとはいえない現状を伝えたかった」と企画の狙いを話す。

 医療は、病気を治すことができても、死の恐怖を軽減することはできない。3月に掲載された第1部は、死後の世界への不安や苦悩を和らげる役割を果たす臨床宗教師の存在に光を当てた。臨床宗教師の活動は東日本大震災を機に始まったばかりで、岐阜県内に2人しかいない。高齢者や患者の元を訪れ、不安を訴える言葉に耳を傾けてそれを解消していく様子を紹介した。

 7月からの第2部はみとりに関わる医療従事者、介護者、家族の姿を伝えた。ある末期がんの患者は在宅療養を選んだ。家族は在宅医療を行うクリニックから吐血への対処や死への過程で体の機能がどう衰えるかなどの説明を受けながら、死を受け入れていった。本人は家族に囲まれ、穏やかに息を引き取ったという。日中、家族が仕事などで介護できない高齢者が最期まで自宅で暮らせるよう、通所介護を利用する例も紹介した。

 小森記者は「どんな治療を受けるか、どこで死を迎えるかを能動的に考えることが残りの人生の充実につながる。生と死を考えるきっかけになってほしい」と語った。(梛)

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